図3は2024年1月に発売されたXiaomiのハイエンドスマートフォン「Xiaomi 14 Pro」の様子である。Xiaomiは2011年以降毎年、発売時点で最上位のQualcommプラットフォームを用いている。2024年モデルでは、2023年後半にQualcommから発売された「Snapdragon 8 Gen 3」が採用されている。Snapdragon 8 Gen 3は既に多数のハイエンド機種に採用されていて、図1のSamsung Galaxy S24も、日本モデルではSnapdragon 8 Gen 3を搭載している。
Xiaomi 14 Proの内部はQualcommのチップセットで骨格が作られているが、Samsung Galaxy S24との大きな違いはメモリ(ストレージ、RAMともに)がMicron Technology、SKhynix、Samsung、キオクシアと、さまざまなベンダーを組み合わせている点だ。Samsungに比べると若干“自社率”は低い。ただし、QualcommはRFパワーアンプなどを手掛けているので、Samsungとの自給率差はわずかなものとなっている(ほぼ同等だ)。Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3のプロセッサ型名は「SM8650」。組み合わされる電源ICは「PM8550VS」「PM8550VE」だ。この電源ICの型名は、1世代前の「Snapdragon 8 Gen 2」(SM8550)で採用されたものと同じである。Snapdragon 8 Gen 2で開発された電源ICが、Snapdragon 8 Gen 3でも再利用されているわけだ。流用することでシリコン種を最小限に抑えているのである。RFトランシーバーは新規のチップだ。その内部の詳細はここでは省略するが、デジタル機能を大幅に向上させたものになっている。Qualcommらは通信チップの中にもAI機能を組み込んでおり、通信性能を向上させるための機能も売りになっている。
図4は、Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3のシリコン開封の様子である。TSMC 4nmで製造されていて、CPUが8コア、Qualcomm独自のGPU「Adreno750」が12コア、Qualcomm独自のAIエンジン「HEXAGON AI」の処理性能が45TOSPとなっている。Snapdragon 8 Gen 3には5Gモデムも搭載されている。CPUの構成は、Samsung Exynos 2400よりも高効率コアが2基少ないが、ほぼ同じになっている。
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