ソシオネクストの会長兼社長である肥塚雅博氏が同社の成長戦略や開発事例などについて語った。
ソシオネクストの会長兼社長である肥塚雅博氏は2024年4月26日に行った2023年度通期(2023年4月〜2024年3月)の決算説明会において、同社の成長戦略や開発事例などについて語った。
ソシオネクストは同社が「第1の変革」とする2018年に事業を転換し、特定の顧客向けにSoC(System on Chip)をオーダーメイドで設計するカスタムSoC市場に注力。独自のビジネスモデル「ソリューションSoC」ビジネスモデルを展開している。ソリューションSoCビジネスモデルでは、同社が顧客の製品企画段階から関与し、ファウンドリーやパッケージ、IP(Intellectual Property)コア、ソフトウェア、EDA(Electronic Design Automation)ツールなどの半導体エコシステムを活用して最適なSoCを提供している。
ソシオネクストはこのビジネスモデルと、グローバルに競争力のある開発体制の構築/強化および最先端技術への積極的な投資、そしてグローバルなSoCエコシステムパートナーとのパートナーシップ強化、高水準の商談獲得の継続という同社が進める『第2の変革』によってさらなる成長を目指している。
同社のソリューションSoCビジネスモデルの競争優位性と特長を示したのが下左図で、多分野/多品種で、SoCアーキテクチャからサーマル設計、品質に至るまでの『Entire Design(全体設計)』とフルターンキー/量産対応の『コンプリート・サービス』を提供し、あらゆるタイプの顧客に最適な独自(Bespoke)SoCを開発するとしている。
これによって同社は2023年から2027年まで年平均成長率(CAGR)5.2%の成長が予測されるカスタムSoC市場において、2023年にはシェア12%(下右図※自社製品向けのカスタムSoCのみを設計するAppleを除く)で第2位となっているという。
下図では、ソシオネクストの開発プラットフォームの特色や最先端技術への投資などをまとめている。肥塚氏は「先端技術分野では主要アプリケーション間でコンピュータアーキテクチャをベースにした似通ったシステム構成になってきている。当社は他分野多品種のEntire Designを手掛けるソリューションSoCに最適な設計プラットフォームの構築を進めると同時に、先端テクノロジーへの投資を積極的に進めていく」と語っていた。
同社は2023年10月、2nm世代プロセスのマルチコアCPUチップレット開発でのArmおよびTSMCとの協業や、TSMCの車載向け3nmプロセス「N3A」を採用したADAS(先進運転支援システム)および自動運転向けカスタムSoC開発着手および、2026年の量産開始予定を相次いで発表している。
なお、説明会ではRISC-Vコアの利用について顧客からの要望があるかと質問が出たが、肥塚氏は、「RISC-VはArmに比べソフトウェアの強さ、基盤の強さという問題はあるが、関心を示す顧客はいて、常に技術動向は見ている。いつでも用意ができるように準備しているし、実際に実績もある」と説明。さまざまなCPU、AI(人工知能)、インタフェース、アプリケーションIPを活用し、「これらをどうやってコンピュータアーキテクチャベース上で統合するかというEntire Design能力を磨きたいと考えている。どのCPUか、ファブがどこかということでなく、この能力自体で顧客に貢献したいというのがわれわれの狙いだ」と答えていた。
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