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「世界初」AI搭載の無線センサーモジュールで予知保全、TDKTIと共同開発(1/2 ページ)

TDKは、AI(人工知能)処理機能を搭載したセンサーモジュールを含む予知保全ソリューション「i3 CbM Solution」を発表した。Texas Instruments(TI)と共同で開発した製品で、AI処理機能を搭載したワイヤレスメッシュセンサーモジュールは「世界で初めて」(TDK)だという。

» 2024年05月14日 10時30分 公開
[浅井涼EE Times Japan]

 TDKは2024年4月16日、AI(人工知能)処理機能を搭載したセンサーモジュールを含む予知保全ソリューション「i3 CbM Solution」を発表した。Texas Instruments(以下、TI)と共同で開発した製品で、AI処理機能を搭載したワイヤレスメッシュセンサーモジュールは「世界で初めて」(TDK)だという。発売は2024年6月を予定する。

「i3 CbM Solution」のワイヤレスセンサーモジュールとネットワークコントローラー 「i3 CbM Solution」のワイヤレスセンサーモジュールとネットワークコントローラー[クリックで拡大]

 製造現場では、予想外のダウンタイムの発生や現場エンジニアの不足といった問題を解消して生産性を高めるため、DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されている。製造現場のDXの手段としてはセンサーモジュールの設置による製造装置のモニタリングなどがあるが、配線などの物理的制約によって望ましい位置にセンサーを取り付けられないことや、データの収集から解析処理までを個別に行うのが難しいという点が支障になっていた。

 i3 CbM Solutionは、こうした課題を踏まえて開発された。バッテリー駆動のワイヤレスセンサーモジュールによって装置をモニタリングできる点と、同一のソリューション内でデータの収集や解析処理まで行える点が特徴だ。2020年にTDKとTIが戦略的な協力を決定して2021年に共同で製品開発を始め、2023年にサンプル提供を開始したという。

センサーモジュールにAI処理機能を搭載

 i3 CbM Solutionは、ワイヤレスセンサーモジュールである「i3 Micro Module」とネットワークコントローラー、ソフトウェアで構成されている。製造設備などに取り付けたi3 Micro Moduleが振動のセンシングとAIによる状態の判定を行い、結果をメッシュネットワークでネットワークコントローラーに送信する。ネットワークコントローラーはPCに接続し、信号送受信の制御を行う。PC上で起動するソフトウェアではデータの収集/統合/解析を行える。

i3 CbM Solutionの構成 i3 CbM Solutionの構成[クリックで拡大] 出所:TDK

 i3 Micro Moduleには、TDK製の産業用グレードの加速度センサーやTI製のマイコンを採用している。AI処理機能を搭載していてモジュール内で振動データを処理するため、データ使用量や消費電力を削減できる。メッシュネットワークは自己形成/自己修復に優れているため起動時のネットワーク構成がスムーズで、接続トラブルの際も自動的に復帰できるという。

 i3 Micro Moduleはモニタリング対象の製造装置やその土台などにねじ止めしてデータを収集する。市場にはマグネットで取り付けられる予知保全ソリューションもあるが、TDKは「より高精度な振動データ取得のため、しっかりと固定できるねじ式にした」(開発担当者)としている。

 他社が手掛ける予知保全ソリューションと比較すると、エッジAIによる推論とワイヤレスメッシュネットワークによる通信が大きな特徴だ。

i3 CbM Solutionの特徴他社製品との比較 左=i3 CbM Solutionの特徴、右=他社製品との比較[クリックで拡大] 出所:TDK
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