「世界初」AI搭載の無線センサーモジュールで予知保全、TDK:TIと共同開発(2/2 ページ)
i3 CbM Solutionの導入フローは、トレーニングフェーズとオペレーションフェーズに分けられる。トレーニングフェーズでは、まずモニタリング対象の製造装置にセンサーモジュールを取り付けて正常動作時のデータを収集し、ソフトウェア上で学習させて、推論モデルを生成する。この推論モデルをセンサーモジュールに書き込むとトレーニングは完了する。このフェーズはおよそ10〜20分で完了するという。オペレーションフェーズではこの推論モデルを基に装置のモニタリングを行う。モニタリング結果の通知間隔は10秒〜1時間で選択できる。異常検出のしきい値は手動で設定する他、異常状態のデータを取り込んで設定することもできる。
i3 CbM Solutionの導入フロー[クリックで拡大] 出所:TDK
i3 CbM Solutionは、複数の工場で既に導入が進んでいる。剥離フィルムや透明導電性フィルムなどを製造するTDKの三隈川工場(大分県日田市)にはフィルムを搬送する多数のガイドローラーがあり、点検工数が多かった。i3 Micro Moduleを47台、ネットワークコントローラーを4台設置し、状態を常に数値で可視化することで、不具合の兆候が見えたタイミングでメンテナンスを実施できるようにしたという。
真空ポンプを手掛けるベッカーエアーテクノでは、顧客工場で真空ポンプが故障し生産が停止したことがあったが、i3 CbM Solutionの導入により故障前にメンテナンスを行えるようになったという。
左=TDK三隈川工場での導入事例、右=ベッカーエアーテクノでの導入事例[クリックで拡大] 出所:TDK
この他にも自動車業界/印刷業界/繊維業界などから既に引き合いがあり、TDKは購入を希望した数十社に対し、2024年6月から順次製品を発送するとしている。モジュールやネットワークコントローラーは1台につき10万円以下、ソフトウェアは無料で提供する予定で、顧客ごとに個別に見積もりを行う。2024年6月に国内販売を開始し、米州/欧州に拡大予定だ。中国やその他の国にも順次販売を拡大する計画で、3年後に黒字化を目指す。
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