NVIDIAが絶好調だ。直近の決算では64.9%という驚異の営業利益率をたたき出している。本稿では、NVIDIAの年間売上高がいずれ1000億米ドルに到達する可能性が高いことを、HBM(広帯域幅メモリ)やインターポーザの進化の視点で解説する。
米NVIDIAが2024年5月22日に発表した2024年4月期(FY2025年第1四半期)の決算によれば、売上高が260.44億米ドル、営業利益が169.09億米ドルで、営業利益率は何と64.9%となった。筆者はこれまで35年間ほど半導体産業に関ってきたが、営業利益率64.9%の半導体メーカーにお目にかかったことはない。また、半導体メーカー以外でも、営業利益率64.9%の企業なんて、あるのだろうか?
ここで、2017年以降のNVIDIAの四半期の業績を見てみると、2022年11月30日にOpen AI社がChatGPTを公開して以降、同社の売上高と営業利益(率)が急拡大していることがよく分かる(図1)。
次に、NVIDIAの四半期の分野別売上高を見てみよう(図2)。当初、NVIDIAのGPUの多くはGaming用に出荷されていた。ところが、2022年の中旬頃からData Center用がGaming用を上回るようになった。そして、ChatGPTが公開された翌年の2023年4月以降に、Deta Center用が急拡大し、2024年4月期には226億米ドルを記録した。これは、NVIDIAの売上高全体の86.7%に相当する。
では、このNVIDIAのすさまじい業績は、半導体売上高ランキングにおいて、どのようなポジションになるのだろうか?
NVIDIAの会計年度(Fiscal Year、FY)は、Intel、Samsung Electronics(以下、Samsung)、TSMCが採用しているCalendar Year(CY)とは異なる。例えば、NVIDIAのFY2025年第1四半期(Q1)は、実際は2024年2〜4月であり、FY2025年Q2は2023年5〜7月である(図3)。
従って、四半期の売上高について、CYで決算を行っているTSMC、Intel、Samsungと、FYを採用しているNVIDIAを直接比較することはできない。
そこで、TSMCなどCYの場合は四半期決算の最終月の3月、6月、9月、12月にそれぞれの売上高をプロットし、NVIDIAの場合はFYの最終月の4月、7月、10月、1月で売上高をプロットしたグラフを作成してみた(図4)。
すると、2023年12月〜2024年1月頃に、既にNVIDIAが1位に躍進しており、2024年3〜4月頃には、NVIDIAがぶっちぎりのトップに躍り出ていることが分かった。
それでは、このNVIDIAの飛躍的な成長は、いつ頃まで続くのだろうか? 恐らく、NVIDIAのGPU不足が解消されるまでは続くと考えられるが、それはいつになるのだろうか?
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