STMicroelectronicsはドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2024」で、エッジAI(人工知能)機能やモーター制御、センシングなどを備えたモータードライバーリファレンス設計によるデモを公開した。
STMicroelectronics(以下、ST)はドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2024」(2024年4月9〜11日)において、エッジAI(人工知能)機能やモーター制御、センシングなどを備えたモータードライバーリファレンス設計を展示。モーターの異常検出デモを行っていた。
今回STが展示していたのは、高集積3相モータードライバー「STSPIN32G4」をベースにしたエッジAI機能付きリファレンス設計「EVLSPIN32G4-ACT」および、インダストリアルIoT(モノのインターネット)向けのワイヤレスセンサーノード用開発キット「STWIN.box」を用いたデモだ。なお、同リファレンス設計はSTが2024年1月、「スマートアクチュエーターの開発簡略化を実現する」製品として発表したものだ。
STSPIN32G4は、パワーマネジメント回路を備えるゲートドライバーと、3相ブラシレスDCモーター制御用の周辺回路(4つの超高速コンパレーター、3つのオペアンプ、2セットのPWMタイマーおよび12ビットA-Dコンバーターなど)を備える、32ビット「Arm Cortex-M4コア」ベースのマイコン「STM32G431」を搭載。また、ブートストラップダイオードやDC-DCコンバーター、LDO(低ドロップアウト)レギュレーターも集積していて、外部回路なしでモーター電源からゲートドライバーとマイコンに電源を供給できるという。
STは、STSPIN32G4について「FA(ファクトリーオートメーション)機器やビルオートメーションシステム、サーボドライバー、家庭用/産業用ロボットなど、小型かつ低消費電力のIoT機器およびインダストリアルIoT機器開発に最適だ」と説明している。
このSTSPIN32G4をベースとしたEVLSPIN32G4-ACTは、最大250Wのモーターを駆動でき、12/24/36/48V電源で動作する。また、保護機能として過熱保護、低電圧保護、過電圧保護、過電流保護機能を備えていて、「部品点数の削減や小型化に貢献できる」としている。この他、6ステップ制御またはフィールド指向制御(FOC)、センサー付き/センサーレスロータ位置検出、3シャント/1シャントの電流検出も選択可能となっている。
さらに、最大48V/5Aの3相モータ用インバーター段や、センサーモジュールに接続してアプリケーション構築を開始するためのさまざまなソフトウェアも含んでいて、STは「これらの機能によって、温度変化や大気圧、音、動き、超音波信号などにインテリジェントに対応する自律メカニズムの開発に貢献する」としている。
STは、このEVLSPIN32G4-ACTを、低消費電力マイコン「STM32U5」のほか、産業グレードのセンサーを複数搭載するSTWIN.boxに接続しすることで、モーター制御や環境データのリアルタイム分析、IoT接続を組み合わせたエッジAIシステムの開発を加速できると説明している。
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