米国による、中国に対する半導体輸出規制の次なる領域とみられるのが、最先端のGAA(Gate-All-Around)半導体製造技術だ。Bloombergの報道によると、米国が中国企業による同技術のアクセスを制限する措置を検討しているという。
米国による、中国に対する半導体輸出規制の次なる領域とみられるのが、最先端のGAA(Gate-All-Around)半導体製造技術だ。GAAは、現在最先端の半導体デバイス製造において使われているFinFET技術の後継技術として広く認められているが、Bloombergの報道によると、米国は、中国企業による同技術のアクセスを制限する措置を検討しているという。
GAAは、GAA FETとも呼ばれ、FinFET技術で使われている垂直フィンを、水平シートのスタックに置き換える。このGAA構造は、駆動電流を増加させながらリーク電流をさらに低減するため、トランジスタ密度を高めて電力/性能面でのメリットをもたらす。
英国は2024年3月、中国企業に対し、GAAトランジスタ技術に関する規制を課した。そして現在、Bloombergの情報筋によると、米国とその同盟国も2024年夏に、英国に追随してGAA技術関連の規制を課す見込みだという。
しかし、このようなアクセス規制は、まだ最終決定されていない。その主な理由は、初期版の内容は非常に広範だと考えられているためだ。こうした規制が、中国がGAA技術を独自開発することを阻止するためのものであるのか、それとも米国と同盟国の半導体メーカーがGAAベースの半導体チップを中国企業に販売することを阻止するためのものなのかが、明確に区別されていないのだ。
この問題に関して、米国の同盟国の中で注目すべき存在となっているのが、韓国だ。Samsung Foundry(以下、Samsung)は、3nmプロセスノードを適用してGAA製造技術を商用化した先駆的存在だ。一方、Intelは、2024年後半に発表予定の「Intel 20A」ノードでGAAトランジスタアーキテクチャを実装する予定だ。また、TSMCは、2026年に実用化を予定している2nmプロセスノードでGAA技術を採用する予定となっている。
SamsungがGAA半導体製造アーキテクチャで先行しているため、韓国がこの件に関してどう対応するのかを見極めるのは興味深い。また、注目すべきは、Bloombergは報道の中で匿名の情報筋を引用していて、議論が非公開であることを強調していたという点だ。
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