5月29日(水曜日)のプレナリーセッションはチェアパーソンによる開会挨拶で始まり、当日の主なイベントが紹介された。その後、キーノート講演へと進んだ。講演者はコロンビア大学のケレン・バーグマン(Keren Bergman)教授、講演タイトルは「Petascale photonic chip connectivity for energy efficient AI computing(エネルギー効率の高いAIコンピューティングに向けたペタスケールの光チップ接続)」である。将来のAIコンピューティングを支えるチップ間の超高密度低消費電力光接続技術を展望した。
5月30日(木曜日)のプレナリーセッションは、プログラムには「The Future of Semiconductor Industry. Emerging Start-ups and Material Innovations in Advanced Packaging(半導体産業の将来:先進パッケージングにおけるスタートアップ企業と材料イノベーション)」とあった。これだけではなんのことやら分からない。要点を読むと、パッケージング分野のスタートアップ企業(技術ベンチャー企業)によるショートプレゼンテーションと、投資家や業界関係者による審査らしい。
そこで実際に参加してみた。技術ベンチャー(スタートアップ)企業よるショート講演(自社技術のプロモーション)が主体である。Global Cooling Technology Group(GCTG)、Terecircuits、Thintronicsの3社から代表者が順に講演した。恥ずかしながら筆者にとり、これら3社の名称は初耳だった。
始めはGlobal Cooling Technology Group(GCTG)のCEO兼共同創業者であるVictor Chiriac氏が講演した。講演タイトルは「GCTG-PULSE:PATENTED TECHNOLOGY THAT COOLS THE WORLD OF ELECTRONICS」である。同社が開発したエレクトロニクス向け薄型冷却(放熱)技術「GCTG-PULSE」を紹介していた。
「GCTG-PULSE」は薄いセラミックあるいは金属のプレートに冷媒(液体と気泡)の流路(ループする流路)を埋め込んだ構造をしている。流路のレイアウトはいわゆる「蛇行流路(serpentine channel)」であり、高温側と低温側の間で蛇行を繰り返す。低温側だけは直線状の流路があり、蛇行流路のループを形成している。そして液体と気泡が流路を移動する(「oscillating」)と表記しているので、往復運動を繰り返すと思われる)ことで、高温側から低温側へと熱を伝達し、放熱する。
自然に冷媒が移動するので動力を必要としないこと、外形が薄いこと、どの方向でも配置できること、などを特長とする。用途としてはタブレット、ノートPC、スマートフォン、自動車などを狙う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.