ヌヴォトンテクノロジージャパンは2024年7月8日、産業用サーバ向け48Vダイレクト駆動モータードライバーIC「KA44370A」を量産開始した。パッケージは4×4mmのHQFN32を採用していて、1Uサイズの40×40mmファンモーターのプリント基板にも実装できる。
ヌヴォトンテクノロジージャパンは2024年7月8日、産業用サーバ向け48Vダイレクト駆動モータードライバーIC「KA44370A」を開発したと発表した。同日からサンプルや評価ボードの提供を開始していて、量産開始は2024年7月中を予定している。
KA44370Aは、48Vで駆動できる100V耐圧の制御回路を小型チップで実現していることが特徴だ。パッケージは外形寸法が4×4mmのHQFN32を採用しているので、1Uサイズの40×40mmファンモーターのPCB(プリント配線板)に実装できる。高耐圧電源ICが不要で、外付け部品を同社の24V品比で53%削減できるとする。これにより、サーバの低消費電力化、サーバラックの高密度化に貢献するという。
KA44370Aを使用した48Vファンモーターの配電損失は、従来の12Vファンモーター比で約16分の1に削減できる。また、モーター駆動電流値および位相を高分解能でリアルタイムにフィードバック制御する独自技術により、高速回転時においても単相ファンモーターの消費電流を従来比で28%、振動を20dB削減。振動によるHDDエラーレートへの悪影響を軽減できる。
さらに、外気流などによりファンモーターが逆回転状態にあっても、確実なモーター起動が可能だという。一般的な単相ファンモーターでは逆回転検知が困難なため、ファンモーター停止時にファンモーターが逆回転すると、再起動が困難だった。KA44370Aでは、独自の回転制御アルゴリズムにより、「他社製品の約2倍に当たる1万回転の逆回転数からでも安定した再起動が可能だ」(担当者)という。
AI(人工知能)の使用拡大によるデータ量増加に伴い、データセンターやサーバの数が増加し、消費電力は10年で10倍以上に増加すると予測されている。サーバの電源システムは、消費電力低減に向けて、主流である12Vから24V、48Vへと高電圧化が求められている。また、データセンター施設内の限られたスペースを有効活用するため、サーバラックの高密度化が可能な薄型の1Uサーバの需要も増加している。
担当者は、販売目標については「非公開」としつつ「12V品の販売は継続しつつ、今後は48Vへの置き換えを進め、先行者利益を狙っていきたい」と述べた。また、一部顧客には既にKA44370Aのサンプルを提供していて、「サイズへの反響が大きい他、小型になると気になる耐振動性能でも高評価を得ている」とコメントした。
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