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200Gbpsの受信用光デバイスを24年内量産へ、三菱電機次世代800Gbps/1.6Tbps通信を見据え(1/2 ページ)

三菱電機は2024年8月20日、データセンター向け光トランシーバーに搭載する受信用光デバイスの新製品として、800Gbps/1.6Tbps光ファイバー通信用の200Gビット/秒 pin-PD(Photo Diode)チップ「PD7CP47」を発表した。2024年内の量産開始を見込む。

» 2024年08月21日 15時30分 公開
[半田翔希EE Times Japan]

 三菱電機は2024年8月20日、データセンター向け光トランシーバーに搭載する受信用光デバイスの新製品として、800Gbps/1.6Tbps光ファイバー通信用の200Gビット/秒(bps) pin-PD(Photo Diode)チップ「PD7CP47」を発表した。チップサイズは0.38×0.36×0.15mm。2024年10月1日からサンプル提供を開始し、同年内の量産開始を目指す。

PD7CP47の展示PD7CP47の製品仕様 左=PD7CP47の製品仕様/右=PD7CP47の展示[クリックで拡大]

通信速度は2倍、受光領域は4倍に

 PD7CP47は、受信用光デバイスとしては同社初の製品だ。裏面入射型構造*)と凸レンズ集積構造の採用により、現在主流の100Gbps製品と比べて2倍の200Gbps伝送が可能になった。光トランシーバー内に4つ搭載することで、1台のトランシーバーで800Gbpsの通信が、8つ搭載することで1.6Tbpsの通信が可能となる。

*チップ表面側に光電変換領域(pin接合)を形成し、チップ裏面側から光を入射する構造

他社現行品とPD7CP47の構造比較他社現行品とPD7CP47の性能比較 他社現行品とPD7CP47の比較。左=構造比較/右=性能比較[クリックで拡大] 出所:三菱電機

 凸レンズ集積構造により、凸レンズがない場合と比較して受光領域が4倍に拡大した。PDチップへの入射光が少しずれても受光できるため、入射光の高精度な調整が不要になった。これにより、光トランシーバーの組み立て作業の効率化を実現する。その他、フリップチップ実装に対応したことで、光トランシーバーの組み立て時のワイヤ接続工程を省略できるため、製造コスト削減にも貢献する。

光トランシーバーの製造/組み立て面でのメリット 光トランシーバーの製造/組み立て面でのメリット[クリックで拡大] 出所:三菱電機

 三菱電機 高周波光デバイス製作所 光デバイス部長の山内康寛氏は、PD7CP47の特長について「長年の光デバイス設計/製造で培ったノウハウを生かしたものだ。特に、裏面入射型構造と凸レンズを組み合わせている受光領域では、半導体プロセスを用いて実装しているため、他社が簡単にマネできるものではない」と語った。

 PD7CP47の製造は高周波光デバイス製作所(兵庫県伊丹市)で行う。三菱電機は2024年1月、2024年度上期中に同拠点における光デバイスの生産能力を現状比で1.5倍に拡張すると発表した。PD7CP47の製造では、既に量産している送信用光デバイス用の生産設備を一部活用する他、「需要に応じてPD7CP47専用の生産設備を拡充する」(同氏)という。

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