エネルギー密度100倍の全固体電池向け新材料、TDK : コイン電池の代替目指す
TDKは、充放電可能なセラミック全固体電池「CeraCharge」の次世代品に向けて、従来の約100倍のエネルギー密度の全固体電池用材料を開発したと発表した。
TDKは、充放電可能なセラミック全固体電池「CeraCharge」を手掛けている。2024年6月、同社はその次世代品に向けて、CeraChargeの約100倍のエネルギー密度の全固体電池用材料を開発したと発表した。
TDKが発表した全固体電池用新材料[クリックで拡大] 出所:TDK
TDKは2020年、「世界で初めて」(同社)の充放電可能な表面実装型オールセラミック全固体電池としてCeraChargeを製品化した。CeraChargeは現在、調理用温度計のバッテリーなどで使用されている。以降TDKは、さらなる高容量化/エネルギー密度向上に向けて開発を続けていたという。
今回発表した材料のエネルギー密度はパッケージがない状態では1000Wh/Lで、従来のCeraChargeの約100倍だ。ただし、パッケージを使わずに製品化した現行のCeraChargeとは違い、今回の新材料を製品化する際にはパッケージを用いる計画だ。エネルギー密度向上は、酸化物固体電解質とリチウム合金負極を採用したことによるという。
エネルギー密度の向上によってデバイスの小型化や長時間駆動が期待できるほか、熱安定性の高い酸化物固体電解質の採用によって安定性の向上も見込めるとしている。
「CeraCharge」の断面模式図[クリックで拡大] 出所:TDK
新材料を製品化した際の用途としては、安定性の高さから、ワイヤレスイヤフォンやスマートウォッチといったウェアラブルデバイスのような人体に直接触れる用途を想定する。現行のCeraChargeでは容量不足で対応できなかった補聴器などにも適用できると見る。加えて、EUの電池規制によって二次電池への置き換えが必要とされているコイン型一次電池を代替することも目指すという。
今後TDKは、電池セルやパッケージの構造設計など、新材料を用いた製品の量産化に向けた開発を進め、2025年以降にサンプル出荷を目指すとしている。
Li金属負極採用の全固体電池、−25〜120℃で動作
デンソーと九州大学の研究グループは、新しい焼結機構を活用することで、750℃という低温焼結とLi金属への安定性を両立させた「固体電解質」を開発したと発表した。Li金属負極を用いて作製した全固体電池は、−25〜120℃という広い温度範囲で動作することを確認した。
75% DODで2000サイクル使用できる超小型全固体電池
フランスの小型電池メーカーITEN(アイテン)は、「EdgeTech+ 2023」(2023年11月15〜17日/パシフィコ横浜)に出展し、超小型の全固体電池を展示した。長寿命が特長で、75% DOD(放電震度)で2000サイクル使用できるという。
105℃環境で10年稼働、システムのメンテ負担が減る全固体電池
マクセルは「SENSOR EXPO JAPAN 2023」にて、硫化物系電解質を使用した全固体電池を展示した。長寿命かつ高耐熱が特長なので、点検しにくい場所や過酷な環境下にあるインフラ設備のモニタリング/異常検知に貢献するという。また、酸化物系全固体電池と比べて高容量で最大放電電流が大きいという。【訂正あり】
TDK、AIの新会社をシンガポールに設立
TDKは、AI(人工知能)関連の新会社としてシンガポールに「TDK SensEI」を2024年7月8日付けで設立した。新会社では、AI技術と複数のセンサーをエッジ側で融合させたプラットフォームの開発などを行う。
1台のワイヤレス充電器でMPP/EPP両規格に対応できるパターンコイル、TDK
TDKは「人とくるまのテクノロジー展2024」で、ワイヤレス充電規格であるMPP規格とEPP規格の両方に対応した薄型パターンコイルを展示する。1つの充電器でQi準拠の全てのスマートフォンを最大15Wで高速充電できるパターンコイルは「世界で初めて」(TDK)だという。自動車内の充電スポットなどへの利用を想定する。
「世界初」AI搭載の無線センサーモジュールで予知保全、TDK
TDKは、AI(人工知能)処理機能を搭載したセンサーモジュールを含む予知保全ソリューション「i3 CbM Solution」を発表した。Texas Instruments(TI)と共同で開発した製品で、AI処理機能を搭載したワイヤレスメッシュセンサーモジュールは「世界で初めて」(TDK)だという。
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