――2024年を振り返ると、10月の衆議院議員選挙では半導体業界支援の旗振り役を担ってきた甘利明氏が落選し、政府支援のトーンダウンを懸念する声も上がりました。どんな影響がありそうですか。
浜島氏 年単位で数兆円単位の投資をしてきた以上、今さら支援が縮小することはないと願っている。とはいえ、強いリーダーシップは必要なので、半導体業界に関わる政治リーダーのことはフェアネスを保てる範囲で応援していきたい。
2018年に甘利氏と話し、「米国や中国、台湾が半導体に注力し始めた。日本も力を入れましょう」と伝えたことがある。そこから甘利氏は半導体戦略推進議員連盟を立ち上げて会長に就き、半導体業界支援を続けてきた。「SEMICON Japan 2021」開会式での「10年間で10兆円の投資が必要だ」という言葉には驚いたが、あの発言から業界全体で流れが変わったと思う。今後イニシアチブを取るのが誰であっても、一丸となって取り組んでいくしかない。
――各国の半導体業界のトレンドはいかがですか。
浜島氏 中国の装置メーカーはやはり勢いがある。2023年の装置メーカーの売上高ランキングでNAURAが8位にランクインしていたことには驚いた。人材も資金も投入して、戦略的に行動していると思う。
インドは、10年前の中国を見ているようだと感じる。ことし9月の「SEMICON India 2024」は他国と遜色ない規模で、若い来場者も多く、エネルギーを感じた。インドはトップダウンの文化が強い国なので、ナレンドラ・モディ首相が半導体製造に注力すると決めればそれが実現するだろう。継続的に投資をして人材を育てていけば、数年で芽が出てくるのではないか。電力や水の安定供給には不安があるが、それも日本のインフラ企業にとってはビジネスチャンスでもある。
――SEMICON Japan 2024の来場者に向けて、メッセージをお願いします。
浜島氏 ことしは、前回を超える10万人の来場を期待している。エレクトロニクス業界全体に目を向け、新しい時代の息吹を感じてもらいたい。特別企画の「SEMICON STADIUM」では半導体が組み込まれたAI(人工知能)ロボットなどを実際に見て、触れて体感できるので、ぜひ楽しんでほしい。
さらに、同業者同士はもちろん、隣接する業界ともコネクションを作る機会になると思っている。学生も多く来場する見込みなので、学生を見かけた際には半導体業界の明るい未来を語ってもらいたい。
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