STMicroelectronicsは欧州最大規模のエレクトロニクス展示会「electronica 2024」(2024年11月12〜15日)に出展。高精度の生体電位入力回路やMEMS加速器センサーおよび組み込みAI(人工知能)機能を搭載したバイオセンサー「ST1VAFE3BX」のデモを初公開した。
STMicroelectronics(以下、ST)はドイツ・ミュンヘンで開催された欧州最大規模のエレクトロニクス展示会「electronica 2024」(2024年11月12〜15日)に出展。高精度の生体電位入力回路やMEMS加速器センサーおよび組み込みAI(人工知能)機能を搭載したバイオセンサー「ST1VAFE3BX」のデモを初公開した。消費電力を抑えつつ、モーション検出および生体信号検出機能を備えた超小型の製品開発を可能とし、「次世代ヘルスケアウェアラブル機器への道を開く」と説明している。
ST1VAFE3BXは、STが2024年10月28日(スイス時間)に発表した新製品だ。
STによると、生体電位センサー向けのアナログフロントエンド回路は、皮膚の状態や体に装着された電極の位置など予測できない影響を受けやすく、設計の難易度が高くなっているという。ST1VAFE3BXでは、完全な垂直統合型アナログフロントエンド(vAFE)によって、生体電位信号検出が簡略化でき、「低コストで使いやすく、健康状態やストレス、興奮などの事象に対する生理学的反応を高い信頼性で評価できる新たな機器の実現に貢献する」という。vAFEは、プログラム可能なゲインと12ビットA-Dコンバーターを搭載。最大出力データレートは3200Hzと、「心臓、脳、筋肉の活動を定量化する幅広い生体電位測定に適している」(同社)
また、ST1VAFE3BXは慣性センシング用の3軸MEMS加速度センサーも搭載していて、装着者の動きに関する情報を収集する。これは生体電位信号と同期していることから、その関連を推論することで、運動による信号のひずみを補正し、データの信頼性を向上できるという。機械学習コアやステートマシン(FSM)などの集積によって、AI処理用の簡単な判定回路の動作はセンサー内で実行でき、同社は「アクティビティー検出などの機能を自律的に処理し、ホストCPUの負荷を軽減することで、システム応答の高速化と消費電力の削減が可能だ」と強調している。
今回、会場では2つの電極とST1VAFE3BX搭載ボードおよび、同社のワイヤレス開発キット「SensorTile.box PRO」とST1VAFE3BXを組み合わせたECG(心電図)測定のデモや、3つのクリップとST1VAFE3BX搭載ボードおよび、MEMSマザーボード「STEVAL-MKI109V3」を組み合わせた心拍数モニタリングのデモを展示していた。
なお、ST1VAFE3BXの消費電流は高性能モード(vAFEと加速度センサーの両方を使用)でも50μAと低く、省電力モードでは2.2μAまで低減可能だという。電源電圧範囲は1.62V〜3.6V。サイズは2×2mmと小型の12リードのLGAパッケージを採用している。
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