Intelは、同社のPat Gelsinger氏が同月1日付でCEOを退任したと発表した。取締役からも退任した。業績低迷が続くなか取締役会の衝突も一部で報じられていて、事実上の解任とみられる。同社取締役会は、新CEOの人選を行う間の暫定共同CEOとして、David Zinsner氏とMichelle(MJ) Johnston Holthaus氏の2人を指名したとしている。
Intelは2024年12月2日(米国時間)、同社のCEO(最高経営責任者)だったPat Gelsinger氏が同月1日付で退社し、取締役も退任したと発表した。業績低迷が続くなか取締役会の衝突も一部で報じられていて、事実上の解任とみられる。同社取締役会は、新CEOの人選を行う間の暫定共同CEOとして、David Zinsner氏とMichelle(MJ) Johnston Holthaus氏の2人を指名したとしている。
Zinsner氏はIntelのエグゼクティブバイスプレジデント兼最高財務責任者(CFO)を務めていて兼任となる。Holthaus氏はこれまでクライアントコンピューティンググループ(CCG)のエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラル マネージャーを務めていたが、今回、Intel Products部門のCEOに昇格。こちらも暫定共同CEOとの兼任となる。また、Intel独立取締役会会長のFrank Yeary氏が移行期間中は暫定執行委員長を務める。なお、 Intel Foundryの体制に変更はないという。
Yeary氏は、「調査委員会を設置し、Gelsinger氏の後継者を見つけるため、真摯かつ迅速に取り組んでいく」と述べている。
また、Yeary氏は「DaveとMJ(Zinsner氏とHolthaus氏)のリーダーシップのもと、優先課題である製品ポートフォリオの簡素化と強化、製造とファウンドリー能力の向上、営業費用と資本の最適化に引き続き緊急に取り組んでいく。われわれは、よりスリムで、よりシンプルで、より機敏なIntelの実現を目指している」などともコメントしている。
Gelsinger氏は1979年にIntelでキャリアをスタートさせ、その後30年間にわたって同社に勤務。同社初のCTO(最高技術責任者)も務め、USBやWi-FiなどのIT産業の重要な技術の創出を推進した。同氏は「80486プロセッサ」のアーキテクトであるとともに、14の異なるマイクロプロセッサ開発プログラムを指揮し、「Coreプロセッサ」ファミリーや「Xeonプロセッサ」ファミリーの開発でも重要な役割を果たした。2009年に一度Intelを去り、EMC(現Dell EMC)に入社。同社の情報インフラストラクチャー製品部門プレジデント兼COO(最高執行責任者)を務めた後、VMwareのCEOを経て、2021年2月、業績が低迷する中で退任となった前CEOであるBob Swan氏の後任としてIntelに“帰還”した。
Gelsinger氏は、CEO就任後の2021年3月、「Intel 7」から「Intel 18A」までの5つのプロセスノードを4年で実現し微細化競争で巻き返しを図る方針を示すとともに、ファウンドリー事業の創設を柱とする製造関連の戦略「IDM 2.0」を発表し、大規模な工場投資を進めてきた。Intelはファウンドリー事業の営業損益の黒字転換は2027年ごろという見方を示していたものの、この大規模な先行投資による多額の赤字が響く他、AI(人工知能)ブームを背景とした競争環境の変化などもあり、業績の低迷は継続。迅速な改善計画を求められることになる。同社は2024年8月には1万5000人規模の人員削減を、同年9月には同事業の子会社化やドイツにおける新工場建設計画の保留などを発表することになった。
Intelは今回の発表文の中で、「Intelは製造競争力を回復し、世界クラスのファウンドリーになるための能力を構築する上で大きな進歩を遂げたが、当社にはまだまだやるべきことがあり、投資家の信頼を回復するために全力を尽くしている。取締役会として、当社は何よりもまず、製品グループを全ての活動の中心に据える必要があることを理解している。顧客はIntelにこれを求めていて、当社は顧客のためにそれを実現する。MJ(Holthaus氏)がIntel ProductsのCEOに昇格し、暫定的に共同CEOを務めることで、製品グループが顧客のために必要なリソースを確保できるようになる。最終的には、プロセスリーダーシップへの回帰が製品リーダーシップの中心であり、当社は、より高い効率性と収益性の向上を推進しながら、その使命に集中し続ける」と説明している。
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