米Ampere Computing主導で約1年前に設立された「AI Platform Alliance(AIPA)」。半導体メーカーだけでなく、クラウドMPS(マネージドサービスプロバイダー)やシステムサプライヤー/インテグレーターなどが加わり、AIPAの規模が着実に大きくなっている。AIPAの目的は、AI処理で「GPUに代わるソリューション」を提供することだ。
AI Platform Alliance(AIPA)は、これまでは主にAI(人工知能)アクセラレーターを手掛けるプライヤーで構成していたが、新規メンバーとしてクラウドMPS(マネージドサービスプロバイダー)、システムサプライヤーおよびインテグレーター、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)を含む21社が加入した。新規メンバーの加入により、同アライアンスの会員数は約3倍になった。
米国のファブレス半導体であるAmpere Computing(以下、Ampere)が主導する同アライアンスは、約1年前の「Open Compute Project」カンファレンスで結成された。
AmpereのJeff Wittich氏は米国EE Timesに、「AIPAの目標は、オープンで経済的、かつ持続可能なエンタープライズグレードのAI推論ソリューションを開発することだ。クラウドおよびシステムサプライヤー、システムインテグレーター、ISVおよびMSPが加わり、アクセラレーターパートナーの数が増えたことで、これらのソリューションを市場に完全に投入するために必要なフルスタックエコシステムが実現した」と語った。
Wittich氏は、「単一ベンダーのソリューションは独自のものであることが多いが、当アライアンスのエコシステムの重要な側面は相互運用性だ」と述べる。
「AIPAは、簡単に展開でき、業界の仕様を活用している複数の団体の技術を含むオープンAIプラットフォームを構築している。当アライアンスのメンバーの1社は、チップレット規格を含む将来的な規格にも焦点を当てている」(Wittich氏)
AIPAはまた、新しいオンラインマーケットプレース(「Solution Marketplace」)も発表した。マーケットプレースでは、利用可能なソリューションとして、異なるメンバーの少なくとも2つのAI技術が用意されている。
Wittich氏は「マーケットプレースによって、潜在的なユーザーがこれらのソリューションによりアクセスしやすくなる。ソリューションは完全な物理システムの形を取ることもできるが、クラウドベースまたはソフトウェアベースのものもあり、定義されたユースケースでテストしている」と述べている。
当初から同アライアンスのメンバーでエッジAIチップサプライヤーのKinaraは、新しいオンラインマーケットプレースに「ARA-1」と「ARA-2」カードを追加した。
KinaraのCEO(最高経営責任者)を務めるRavi Annavajjhala氏はEE Timesに、「フルスタックソリューションを有機的に調達できる専門知識を持った企業はほとんどない。そのため、専門的なハードウェアおよびソフトウェアベンダー間のパートナーシップが必要となる。AIPAは、パートナーベンダー間のコラボレーションの場を提供する」と語った。
新規メンバーであるUntether AIのAIアクセラレーターカードは、既にマーケットプレースで入手可能である。Untether AIの製品担当バイスプレジデントを務めるBob Beachler氏は、「AIPAは、Untether AIがArmエコシステムと継続的に統合するためのもう一つのプラットフォームであり、既に自動車やデータセンター分野でパートナーシップを結んでいる」とEE Timesに語った。
Beachler氏は、「ソリューションをシンプルにして、顧客が展開を加速できるようにしたいと考えている。AIPAエコシステムや補完的な技術パートナーと協力することで、相互運用性を確保できる」と説明した。
AIPAのメンバーは、イノベーションの加速と透明性の向上を目指し、AIワークロード用のGPUに代わるソリューションを提供すべく、協業していくという。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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