TI、「C2000」マイコンにNPU搭載品追加 エッジAIを加速：99％の精度でシステム障害を検知

テキサス インスツルメンツ（TI）は、C2000マイコンの新シリーズとして、車載システムや産業機器に向けた2シリーズを発表した。ニューラルプロセッシングユニット（NPU）を搭載した「TMS320F28P55x」シリーズと、64ビットC29デジタル信号プロセッサコアを搭載した「F29H85x」シリーズである。

[馬本隆綱，EE Times Japan]

NPUを内蔵し最大99％の精度で故障を検知、64ビットCPUコア搭載品も

　テキサス インスツルメンツ（TI）は2024年11月、C2000マイコンの新シリーズとして、車載システムや産業機器に向けた2シリーズを発表した。ニューラルプロセッシングユニット（NPU）を搭載した「TMS320F28P55x」シリーズと、64ビットC29デジタル信号プロセッサコアを搭載した「F29H85x」シリーズである。

　TMS320F28P55xシリーズはNPUを搭載しており、トレーニングによってさまざまな環境を学習することによって、最大99％という高い精度でシステム障害などを検出できるようになる。しかも、ニューラルネットワークモデルをメインCPUで実行した場合に比べ、5〜10倍の低レイテンシーを実現できるという。

　一方、F29H85xシリーズは新たなC29コアを搭載した。これにより、従来のC28コアに比べ、リアルタイムのシグナルチェーン性能が2倍に向上した。また、総合的な診断メカニズムとエラーチェックメカニズムを備えたことで、ISO 26262に加え、IEC 61508自動車／産業安全規格のASIL DおよびSIL 3にも準拠している。

　この他、両シリーズともサイバーセキュリティ機能を備えている。具体的には、不正アクセスやサイバー脅威からシステムを保護する完全分離型のハードウェアセキュリティモジュールを搭載。また、独自の安全セキュリティユニットを内蔵した。これにより、コンテキスト認識型で先進的なメモリ保護ユニットを用い、CPUタスクをハードウェア的に分離すれば、実行時の安全性とセキュリティを確保できるという。

新製品の応用イメージ［クリックで拡大］ 出所：TI