2024年も間もなく終わりを迎えます。そこで、EE Times Japan編集部のメンバーが、半導体業界の“世相”を表す「ことしの漢字」を考えてみました。
筆者が選んだ漢字は「乱」です。
混乱の「乱」という意味で選びました。半導体業界が混乱の避けられない世界であることを実感した1年でした。
私はEE Times Japan編集部に加わって2年目なので、2020〜2022年の新型コロナウイルス感染症流行による半導体不足の大混乱はテレビや一般紙の報道を見ていた程度でした。当時と比べれば2024年は特別混乱の多い年というわけではなかったはずですが、それでも半導体業界とは政治や経済の動向から大きな影響を受け、かつどんな大手企業も明日の立場を保証されていない世界なのだと感じる出来事が多かったように思います。
例えば、Intelの業績不振です。2024年第2四半期には19億8000万米ドルという巨額の営業損失を計上し、1万5000人の従業員削減も発表。12月にはCEO(最高経営責任者)だったPat Gelsinger氏が退任しました。Intelのことは仕事で関わる前から当然知っていて、長年「世界トップの半導体企業」という印象を持っていました。他の企業がぐんぐん成長している中でトップクラスの企業だけがここまでの業績不振に陥るというのは、他の業界ではなかなか聞かない話ではないかと思います。
政治から受ける影響の大きさも感じました。米国大統領選挙でドナルド・トランプ氏の再選が決定したり、日本の衆議院議員選挙では半導体業界支援に注力してきた甘利明氏が落選したりといったニュースがあり、「この先はどうなるのだろう」という空気を感じました。政府支援は各企業にとってとても重要ですし、国家間の対立によってサプライチェーンの混乱も生じかねないため、半導体業界は政界の移ろいに敏感なのだと改めて感じました。
変化の激しい半導体業界で次は何が起こるのか、2025年も期待と緊張を抱きながら注視していきます。
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