TechInsightsによれば、成熟ノードチップの供給過剰により、利益がほとんど出ていないことが証明されている。Hutcheson氏によると、中国ではHangzhou Silan MultiChipが300mmウエハー工場の稼働を延期している他、Beijing Century Goldray Semiconductorが破産申請したという。
Hutcheson氏によると、中国は、国内で製造した成熟ノードチップおよび必須チップを搭載する安価なEVを世界の自動車市場に大量に投入することで、米国の規制や潜在的な関税を回避する可能性があるという。
「トランプ新政権が発足すると、米国政府は、この問題の調査から関税による対応へと役割を移行させると思われる。最終的には、中国側からのさらなる報復が予想される。これまでのところ、中国は比較的穏やかで、長期戦を展開している」(Hutcheson氏)
Triolo氏は「多くの米国企業が輸入する製品に使われている中国製の半導体に部品関税を課すのは非常に難しいだろう」と述べる。
さらに「そうした関税が、米国や同盟国の企業が成熟ノードの生産能力を増やすインセンティブとして影響を及ぼすかどうかは明らかではない」と付け加えた。
EE Timesが2025年初めにインタビューしたアナリストらによると、技術戦争は激化する可能性が高いという。
Triolo氏によると、成熟ノードの過剰生産能力の問題によって、欧米は政策面で混乱に陥っているという。同氏は、シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS:Center for Strategic International Studies)が発表した記事で「政府当局は、太陽光パネルやEVと同じように、成熟ノード事業も中国に乗っ取られるのではないかと懸念している」と述べている。「成熟ノードチップは、EVや太陽光発電とは異なりコモディティであるため、過剰生産能力というレンズを通してこの問題を見るのは間違っている」と同氏は指摘する。
Triolo氏によると、SMICやHua Hongのような中国企業が生産能力を拡大する目的は、主に国内需要を満たすことだという。
Triolo氏はCSISの記事で「中国は依然として国内の半導体需要の大半を輸入に頼っているため、国内生産能力を拡大する商業的誘因がある」と述べている。「米国の輸出規制も、この傾向を加速させている」と同氏は付け加える。これには2つの要因があり、一つは、SMICのような企業が先端ノード生産に集中するのを妨げられること。もう一つは、中国政府が中国企業に対し、さまざまな政府機関や産業部門のハードウェア/ソフトウェアについて、海外サプライヤーに代わる国内サプライヤーを探すよう奨励していることだという。
SemiAnalysisによると、米国と中国の技術戦争によって、中国で販売するチップメーカーは、成熟ノードチップの国内調達を増やすことを迫られるだろうという。
Kundojjala氏は「中国の新しい成熟ノードの生産能力の一部は、外国企業が“中国のための中国”戦略を採用する際に利用される可能性が高い」と語った。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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