SemiAnalysisによると、台湾UMC(United Microelectronics Corporation)や米GlobalFoundriesのような実績あるファウンドリーの他、STMicroelectronicsやTexas Instruments(TI)などの成熟ノードの工場を持つ統合型デバイスメーカー(IDM)は今後、中国SMICやHua Hong、ハイテク大手のHuawei傘下の半導体メーカー各社との競争激化に直面することになるという。
Kundojjala氏は「SMICやHua Hong、Nexchip、XMCなどを含む十数社の中国メーカーが、成熟ノードの生産能力を増強しているところだ」と述べる。
同氏は「SMICなど一部のメーカーは、輸入が許可されている半導体装置を、より微細なプロセスノードを実現するマルチパターニング向けとして転用している」と付け加えた。
「米国が中国の先端ノードへの参入を阻止すべく規制措置を策定したため、中国は、成熟ノード(10nm以降)に注力するしか選択肢がない。SMICが2023年に製造した7nm世代のチップは、米国政府が中国を14nmノードで停滞させるために設定した、越えてはならない一線を越えたのだ」(Kundojjala氏)
SemiAnalysisによると、GlobalFoundriesやUMC、X-FAB、Tower Semiconductorなどの専業メーカーは、重要なシングルソースビジネスを確保しているため、今のところ中国の生産能力についてそれほど懸念する必要はないという。
Kundojjala氏は「世界の成熟ノード市場全体の最大4分の1が、中国との競争にさらされる可能性があるが、その影響が明らかになるにはまだ数年かかるだろう」と付け加えた。
DGA Groupの中国/技術政策部門担当シニアバイスプレジデントであるPaul Triolo氏は、「中国が、成熟ノードチップを世界市場に氾濫させることはないだろう」と述べる。
Triolo氏はEE Timesの取材に対し「中国以外の大手成熟ノードメーカーは今後も、品質や信頼関係、競争力のある価格などをベースとして競争していくとみられる。こうした関係性は非常に重要だ。機器メーカーは、信頼できる成熟ノード半導体メーカーと連携していきたいと考え、通常、わずかな価格差のためにベンダーを変更しようとは思わないだろう。米中間の地政学的な緊張関係や、台湾をめぐる軍事衝突が発生した場合に中国拠点の生産に大きな混乱が生じる可能性があることなどを踏まえると、大きな問題となるのは、海外の機器メーカーがどの程度まで中国サプライヤーに依存したいと考えるかという点ではないだろうか」と述べている。
Hutcheson氏は「中国はこれまで、ソーラーパネルやモバイルデバイス、電気自動車(EV)、民生機器などの市場を狙い、それを獲得するために産業開発戦略を活用してきた」と述べる。
「それは、手当たり次第に大規模な補助金を提供することから始まる。勝者はあらかじめ政府によって選ばれるわけではない。中国の手法により、結果的に市場参入企業の数は数百〜数千社にも達する。そして市場に勝者を選ばせる一方で、過剰供給に頼って弱者を駆逐する。これは、極端な自由放任資本主義だといえるが、市場獲得のためには非常に効果的な手法であることが実証されている」(Hutcheson氏)
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