磁気センサーの磁気分解能を従来の1000倍以上に:アルプスアルパインと東京大が連携
アルプスアルパインは東京大学の研究グループと、トポロジカル材料を用いた磁気センサーの開発を始めた。両者の技術や人材を融合することで、従来に比べ1000倍以上の磁気分解能を持つ磁気センサーの開発が可能とみている。
アルプスアルパインは2025年3月、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻の中辻知教授らによる研究グループと、トポロジカル材料を用いた磁気センサーの開発を始めたと発表した。両者の技術や人材を融合することで、従来に比べ1000倍以上の磁気分解能を持つ磁気センサーの開発が可能とみている。
アルプスアルパインは、2025年4月より始まる第3次中期経営計画の中で、センサー領域への戦略投資を計画。中でも磁気センサーは、車載やスマートフォン、産業ロボット、医療機器など幅広い分野で活用されている。調査会社のデータによれば、世界の市場規模も2023年の42億米ドルに対し、2032年までには78億米ドル規模に達すると予測されている。
アルプスアルパインはこれまで、磁気分解能が800pTレベルの磁気センサーを開発してきた。これに対し、東京大学が研究しているトポロジカル磁性体を用いれば、分解能を従来品の1000倍以上にできる可能性があるという。これが実現できれば、これまで検出できなかった微小な磁場を測定できるため、潜在的な不良を検知したり、病気を早期発見したりできる。
そこで今回、社会連携講座「トポロジカル量子センシング」を2025年2月に設置。常温で世界最高レベルの磁気分解能を持ち、小型化が可能な磁気センサーの研究に取り組む。研究成果は磁気センサーだけでなく、スピントロニクスデバイスへの応用も期待できるという。活動期間は2024年11月〜2029年10月末までの5年間。
社会連携講座「トポロジカル量子センシング」の概要[クリックで拡大] 出所:アルプスアルパイン
アルプスアルパイン、パワーインダクター事業を譲渡
アルプスアルパインは、パワーインダクター事業を台湾Delta Electronicsグループに譲渡することを、2024年8月29日開催の取締役会で決めた。これに基づき、デルタグループの日本法人であるデルタ電子との間で、事業譲渡に関する最終契約書を締結した。譲渡金額は約103億円。
アルプスアルパイン仙台開発センターにR&D新棟完成
アルプスアルパインは、宮城県大崎市の仙台開発センター(古川)内に建設していた「R&D新棟(3号館)」が完成し、2023年4月17日に竣工式を行った。「働き方改革」や「D&I(多様性)への配慮」「再生可能エネルギーの活用」などに対応した施設となっている。
黒さびの飽和磁化を増大 希土類元素を添加
東京大学と高輝度光科学研究センターの研究グループは、永久磁石の「マグネタイト(Fe3O4)」に希土類元素を添加することで、飽和磁化が増大することを実証した。
新方式のAIプロセッサ、開発コストを40分の1に削減
東京大学の研究グループは、開発コストを従来の40分の1に削減しながら、高い電力効率を実現した「ストラクチャードASIC型AIプロセッサ」を開発したと発表した。
超高容量を実現 全固体フッ化物イオン二次電池用正極材料
京都大学の研究グループは、トヨタ自動車や東京大学、兵庫県立大学、東北大学および、東京科学大学と共同で、全固体フッ化物イオン二次電池用の超高容量正極材料を開発した。既存のリチウムイオン二次電池正極材料に比べ、2倍を超える高い可逆容量を示すことが分かった。
6G向けテラヘルツ波吸収フィルムを極薄で実現
東京大学の研究グループは0.1T〜1THzのテラヘルツ波を吸収する極薄の「テラヘルツ波吸収フィルム」を、新日本電工と共同で開発した。6G(第6世代移動通信)や非接触バイタルモニタリングシステム、セキュリティセンシングシステムなどの用途に向ける。
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