ソフトバンクGがAI半導体設計のAmpereを65億ドルで買収へ : 「Armの設計力を補完」
ソフトバンクグループが同社子会社であるSilver Bands 6を通じ、Armベースのサーバ向け半導体設計を手掛ける米国Ampere Computing Holdingsを買収する。買収総額は総額65億米ドル(約9730億円)で、2025年後半の買収完了を見込む。
ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンクG)は2025年3月20日、同社子会社であるSilver Bands 6を通じ、Armベースのサーバ向け半導体設計を手掛ける米国Ampere Computing Holdings(以下、Ampere)を買収すると発表した。同月19日(米国時間)にAmpereおよび同社の特定の持分保有者と合意した。買収総額は総額65億米ドル(約9730億円)で、2025年後半の買収完了を見込む。
Ampereは、2017年9月、Intelの元社長であるRenee J. James氏が創業した企業で、次世代クラウドコンピューティングやAIワークロード向けに特化した高性能でエネルギー効率に優れたArmベースのプロセッサを設計している。現在、約1000人の半導体エンジニアを抱えていて、ソフトバンクGは今回の発表の中で、「その素晴らしい技術開発力により、Ampereは、今後の成長市場において重要な役割を果たすと見込んでいる」と述べている。
Ampereは、ソフトバンクGのグループ企業、投資先、取引先を含む広範なエコシステムと連携していく見込み。今回の買収に伴う戦略的な連携によって、同じくソフトバンクG子会社のArm Holdings(以下、Arm)の設計力を補完し、「ARMベースのチップの開発およびテープアウトで実績を持つAmpereの専門知識を統合することが可能になる」(ソフトバンクG)としている。
AI処理で「GPUの代替」を アライアンスが拡大
米Ampere Computing主導で約1年前に設立された「AI Platform Alliance(AIPA)」。半導体メーカーだけでなく、クラウドMPS(マネージドサービスプロバイダー)やシステムサプライヤー/インテグレーターなどが加わり、AIPAの規模が着実に大きくなっている。AIPAの目的は、AI処理で「GPUに代わるソリューション」を提供することだ。
「LLMの巨大化」が生成AIのボトルネックに
急成長が予想されている生成AI(人工知能)においてボトルネックとなるのは、LLM(大規模言語モデル)の巨大化、つまりパラメーター数の増加だという。SambaNova Systemsなどが、こうしたボトルネックについて語った。
AIの消費電力、学習よりも推論がはるかに大きな課題
Ampere Computingは、昨今急速に普及している生成AIでは、学習よりも推論の消費電力が大きな課題になると指摘した。「推論のスケールアウトの問題は、確実に破壊的な影響をもたらすだろう」と同氏は懸念を示している。
Intel元社長が創設したAmpere、順調に成長
Ampere Computing(以下、Ampere)は順調に成長を続けている。2020年に発売した80コアプロセッサ「Altra」は順調に顧客を獲得しており、同社はそのうち数社をついに公表した。128コアの「Altra Max」は現在サンプル出荷中で、Ampereが公言していた通りの処理速度を実現している。
Ampereがサーバ向けArmプロセッサを開発、Intelに挑戦
新興企業Ampere Computing(以下、Ampere)は、Armベースの80コアプロセッサ「Altra」の出荷を開始したと発表した。“クラウドネイティブ”のプロセッサとして位置付けられる製品だ。
Intelの元社長、サーバ向けArm SoCで再始動
2015年にIntelを退任した、元プレジデントのRenee James氏が、Ampere ComputingのCEOとして、データセンター向けサーバ向けArm SoC(System on Chip)を発表した。データセンター向けサーバ市場は現在、Intelの独占状態だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.