早稲田大学の研究グループは、テラヘルツ帯に対応した無線通信システムを試作し、286.2GHz帯を用いたOFDM無線伝送としては世界トップクラスとなる72.4mの伝送距離を実現した。
早稲田大学理工学術院の川西哲也教授らによる研究グループは、テラヘルツ帯に対応した無線通信システムを試作し、286.2GHz帯を用いたOFDM無線伝送としては世界トップクラスとなる72.4mの伝送距離を実現したと発表した。
研究グループは今回、286.2GHzというテラヘルツ領域まで対応可能なアンテナや送信機、受信機を試作した。特にアンテナは、4系統のビームフォーミングに対応でき、40dBicの高利得なレンズ付き「右旋円偏波パッチアンテナ」と、47dBicの高利得なレンズ付き「直線偏波コニカルホーンアンテナ」を開発した。送受信RFアンプやミキサーにはNTT先端集積デバイス研究所が開発した「テラヘルツ帯RFデバイス」を採用した。
伝送実験では中心周波数を286.2GHzに設定し、位相が制御された4系統のRF信号をアンテナ放射後に空間合成することで、特定実験試験局に許可される範囲内の等価等方放射電力(EIRP)44dBmを出力した。
実験は、早稲田大学戸山キャンパス(東京都新宿区)の早稲田アリーナ内で行った。具体的には、72.4m離れた距離において、帯域幅2.0GHzという条件で、変調方式QPSK(伝送速度3.28Gビット/秒)、16-QAM(同6.55Gビット/秒)、32-QAM(同8.19Gビット/秒)を用いたQFDM伝送に成功した。ちなみに、300GHz帯によるQFDM伝送の通信距離はこれまで10mであったという。
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