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「これ以上ないほど悪い結果」減収減益のローム、最終赤字500億円に25年度は減収増益予想(1/3 ページ)

ロームの2024年度通期業績は、売上高が前年度比4.1%減の4484億円になったほか、営業損益は前年度の433億円の黒字から400億円の赤字に、純損益は同539億円の黒字から500億円の赤字に転落した。最終赤字になるのは524億円の赤字を計上した2013年3月期以来で、過去2番目の赤字規模だという。

» 2025年05月14日 09時50分 公開
[永山準EE Times Japan]

 ロームは2025年5月13日、2025年度3月期(2024年度)通期業績を発表した。売上高は前年比4.1%減の4484億円になったほか、営業損益は前年度の433億円の黒字から400億円の赤字に、純損益は同539億円の黒字から500億円の赤字に転落した。最終赤字になるのは524億円の赤字を計上した2013年3月期以来で、過去2番目の赤字規模だという。電気自動車(EV)の世界的な減速や、産業機器の在庫調整長期化などが響いた。

 同日開催した記者説明会でローム社長の東克己氏は「非常に厳しい状況で、ロームとしてこれ以上ないぐらい悪い結果だが、来期に向け改善していく」と説明。2025年度通期も売上高は前年比減を見込むものの、固定費削減や償却費減少などによって営業利益、純損益は黒字化する計画だ。

2025年度3月期(2024年度)通期業績 2025年度3月期(2024年度)通期業績[クリックで拡大]出所:ローム

「判断が遅かった」12年ぶり赤字転落の要因

 2024年度通期売上高を詳しく見ると、市場別では民生市場は家電分野が伸び同0.7%増の933億円になったほか、コンピュータ&ストレージ市場もPC&サーバ分野が好調で同7.7%増と拡大したものの、最大の市場である自動車が前年比2.4%減の2238億円となったほか、産機も同23.3%減の573億円と大きく減少したことが主因でマイナス成長となった。取引先企業の国籍別では、同社の売上高の52.3%を占める日本において前年度比10.3%減の2345億円となった。日本では自動車で108億円減、産機で127億円減少になったのをはじめ、全用途で減収になっている。

2024年度通期売上高の市場別変動要因2024年度通期売上高の国籍別変動要因 左=2024年度通期売上高の市場別変動要因/右=2024年度通期売上高の国籍別変動要因[クリックで拡大]出所:ローム

 営業損益の内訳をみると、為替の好影響(153億円)があったものの、減収影響(193億円)、生産調整に伴う稼働率の抑制および、第5世代SiC MOSFETおよび8インチ化などのための研究開発費増加を中心とした固定費の増加が影響し、営業損益は前年比833億円減となった。

 純損益は、営業損益の減少影響に加え、シリコンウエハー事業からの撤退およびLSI事業や半導体素子事業(パワーデバイス、小信号デバイスなど)を中心とした国内外工場の生産設備に関連する減損損失として303億円を計上したことなどによって、前年比1039億円減となった。東氏は赤字転落の要因について「市況が変化してきた時に投資を止められなかったこと、生産を続けていたことが主因。この判断が遅かった」などと説明していた。

営業利益の増減分析純利益の増減分析 左=営業損益の増減分析/右=純損益の増減分析[クリックで拡大]出所:ローム
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