2024年度の設備投資実績は1330億円で、2025年度は850億円に抑える計画だ。さらに2026年度についても「先行投資期間は終了した」と説明。受注確度に即した厳格な投資判断によって償却費をコントロールしていく方針だ。2025〜2027年度を構造改革期間と位置付け、市況変動に強い事業基盤構築を進めていくとも説明した。
SiC事業については、現状は一時的に成長が鈍化ているものの、中長期的な市場拡大への期待に変化はないとの見解を示すとともに、市場の供給過剰によって競争が激化しているという点についても「これは間違いないことだ」と説明。そのうえでロームは、SiCを採用する主機インバーターにおけるBEV(バッテリー式電気自動車)の台数ベースでのシェアが伸長していて、2025年度にはシェア19%(年間5万台以上生産されるBEVの台数ベース)を獲得する見込だと強調。日系自動車メーカーおよびTier1メーカーの立ち上がりも進んでいて、東氏は「ここがしっかり立ち上がってくれば、トップシェアを目指せる」と語っていた。
SiC事業の黒字化については、2027年度に単月黒字化を目指す。同社のSiCは、これまでウエハーやチップでの導入が中心だったため、上述の通り生産台数当たりの数量ではシェア19%程度となる一方、金額ベースのシェアは9%程度だという。そうした中でロームは2024年9月に2in1仕様のモールドタイプSiCパワーモジュール「TRCDRIVE pack」を発表。このデザインウィン拡大によって、製品単価を上げ、売り上げを拡大していく。東氏は「非常に好評なモジュールができたことで、売り上げもしっかり上げていけると考えている」と述べていた。
生産能力向上については、筑後工場(福岡県筑後市)では2025年度中に8インチラインの構築を完了、宮崎第二工場(宮崎県国富町)でも2026年度からデバイスの生産開始をする計画は順調に推移していると説明。そのうえで生産性および歩留まり改善について「ロームとして生命線であり、マストで取り組む」とした。
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