東芝は2025年6月4日、樹脂絶縁型SiC(炭化ケイ素)パワー半導体モジュールの新技術を発表した。独自の「小面積チップの分散配置設計」と「AIを活用した設計最適化」により、従来のセラミック絶縁型モジュールと比較して熱抵抗を21%低減し、冷却システムのサイズを61%削減できる可能性を示した。
東芝は2025年6月4日、樹脂絶縁型SiC(炭化ケイ素)パワー半導体モジュールの新技術を発表した。独自の「小面積チップの分散配置設計」と「AIを活用した設計最適化」により、従来のセラミック絶縁型モジュールと比較して熱抵抗を21%低減し、冷却システムのサイズを61%削減できる可能性を示した。この成果は、熊本市で開催されいる国際学会「ISPSD 2025」(会期:2025年6月1〜5日)で発表される。
SiCパワーモジュールは、高電圧/大電流の電力変換が可能で、鉄道、再生可能エネルギー、産業用途などでの利用が進んでいる。、樹脂絶縁基板は従来のセラミック絶縁基板に対し、低コストで熱疲労に強く、長寿命化が期待される。ただ、熱伝導率が低く熱抵抗が高いという課題があった。このため、発熱による電力損失の増大を防ぐため大型の冷却装置が必要になり、機器全体の大型化を招いた。
東芝はこの課題に対し、モジュールに搭載するSiCパワー半導体チップを小面積化し、モジュール全体に分散配置することで放熱面積を拡大し、熱抵抗を低減する手法を採用した。
さらに、チップの配置や銅パターン部のレイアウトなどの設計パラメーターを、独自のAIによる最適化アルゴリズムを用いて最適化し、熱抵抗、寄生抵抗、スイッチング損失の低減を実現した。
試作した樹脂絶縁型SiCパワーモジュールは、従来のセラミック絶縁型モジュールと比較して、熱抵抗を21%、寄生抵抗を21%、スイッチング損失を19%低減した。これにより、一般的なインバーターに適用した場合、冷却システムのサイズを61%削減できる可能性があるという。この技術により、電力変換器の小型化が可能になり、設置スペースやコストの削減につながることで、電動モビリティや再生可能エネルギーのさらなる普及拡大など、カーボンニュートラルの実現への貢献が期待される。東芝は、定格電流や耐圧が異なるパワーモジュールへの展開も視野に入れ、さらなる研究開発を進め、早期実用化を目指すとしている。
(※)本記事は制作段階で生成系AIを利用していますが文責は編集部に帰属します(ITmedia AI倫理ポリシー)
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