ロームの2025年度通期業績は、純損益1584億円と過去最大の赤字となった。赤字は前期から2年連続。SiCパワー半導体の生産設備を中心に1936億円の減損損失を計上した結果で、同社社長の東克己氏は「(これまでの『膿み』は)今回の減損で出し切れたとみている。これからは上げていく方向だけに注力できる」と述べた。
ロームは2026年5月12日、2025年度通期(2025年4月〜2026年3月)業績を発表した。純損益は1584億円と過去最大の赤字だった。赤字は前期(500億円の赤字)から2年連続だ。炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の生産設備を中心に1936億円の減損損失を計上した結果で、同社社長の東克己氏は「(これまでの『膿み』は)今回の減損で出し切れたとみている。これからは上げていく方向だけに注力できる」と述べた。2026年度(2026年4月〜2027年3月)の純損益は290億円の黒字転換を見込む。
ロームは、バッテリー式電気自動車(BEV)市場の成長鈍化を受け、投資計画の見直しや、次世代デバイス開発および生産プロセスの8インチ化による歩留まり向上などを通じたコスト削減を実施。SiC事業の黒字化に向けた取組みを継続してきたが、「米国における電気自動車(EV)優遇措置の縮小や、欧州における2035年以降の内燃機関搭載車の販売規制の見直しなどを背景に、BEV市場の中期的な成長率は従来予測を下回る見込みだ。これらの状況を踏まえ、固定資産の回収可能性を改めて検討した結果、減損損失を計上することにした」と説明。SiC事業にかかる国内外工場の生産設備などを中心に計1936億円の減損損失を計上した。
なお、2025年度通期の売上高は前年度比7.3%増の4811億円に成長、営業損益も108億円の黒字転換を果たしている。売上高を市場別にみると、自動車が前年度比5.8%増の2368億円、産機が同7.0%増の613億円、民生が同13.0%増の1054億円、コンピュータ&ストレージ(C&S)が同8.9%増の593億円とそれぞれ成長した。通信は同7.0%減の183億円だった。
2025年度は金価格の高騰による変動費負担の増加があったものの、売り上げ増や償却費を中心とする固定費削減の効果によって営業利益は前年度(400億円の赤字)から509億円の増益となった。
東氏は「(本業のもうけである)営業利益ではなんとか100億円ほどの利益を出せたが、減損をしなければならないという状況は忸怩(じくじ)たる思いだ。第1期中期経営計画の際、『風が吹いていた』ということはあるが、非常に大きく(投資を)やりすぎてしまったという反省はある。だめなものは一度落とし、その後に大きく改善し、利益を出していく会社にもう一度戻るという気持ちで今回、大きな金額だが減損損失を計上した」と説明。そのうえで「(これまでの『膿み』は)今回の減損で出し切れたとみている。これからは上げていく方向だけに注力できる」とも述べていた。
2026年度通期予想は売上高が同6.0%増の5100億円、営業利益は同176.1%増の300億円、純利益は290億円の黒字転換を見込む。構造改革の効果については「徐々に表れてくる」としつつも、中東情勢やさらなる金価格高騰の影響で効果は限定的になる見込みだ。ただし、2025年度に計上した減損損失の影響から償却費は大きく減少し、営業利益が大きく改善するとしている。
設備投資については、第1期中期経営計画期間(2021年度〜2025年度)は累計6082億円を投じていたが、2026年度からまず3年は累計約1500億円に抑える計画だ。東氏は「第1期中計では、SiC、IGBT、絶縁ゲートドライバーというロームとして非常に引き合いの強かった製品で大きく投資したが、今思うと若干過剰だった。この3カ年は年平均500億円程度に抑える」などと説明した。
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