Broadcom、Intel、TSMCなどの主要な業界プレイヤーの投資決定は、この南北の格差を浮き彫りにしている。
Broadcomが提案していたスペインの10億米ドル規模のバックエンドATP施設は、バリューチェーンの資本集約度が低いセグメントへの「欧州で唯一」とされる機会投資だった。しかし、2025年7月にスペイン政府との交渉「決裂」により中止されたことで、同プロジェクトが、いかなる犠牲を払ってでも追求すべきBroadcomのグローバル戦略の中核ではなかったことが明らかになった。
Intelは当初、欧州全体で800億ユーロを投じる大規模計画を発表していた。しかし、スペインでの具体的な投資は、研究開発に限定されている。同社は、バルセロナ・スーパーコンピューティング・センター(BSC)との共同研究所に10年間で4億ユーロを投じ、ゼタスケール・コンピューティングのパイオニアとして、オープンソースのRISC-V命令セットをベースとしたプロセッサの開発を進めている。
これは、高性能コンピューティングにおけるスペインの卓越性を活用しているが、他の場所でのIntelの資本集約的な製造計画とは著しく対照的である。Intelはドイツのマクデブルクに300億ユーロを投じて「メガファブ」の建設を進める計画だった(現在、この計画は約2年延期される見込み)
TSMCは、戦略的に最も明確な欧州投資を追求している。同社は、グローバル展開を「顧客のニーズ、必要な政府支援の利用可能性、グローバルな人材へのアクセス」によって決定している。これは、台湾以外への多角化を目指すという地政学的要因の影響によるところが大きい。TSMCは、同社初の欧州の製造工場として、ドイツのドレスデンを慎重に選択した。
シリコンザクセン地域は、既存の半導体エコシステムが密集していて、主要な自動車および産業の顧客に近接しており、ドイツ政府から50億ユーロという多額の補助金が提供されることから、同社の基準を全て満たしている。
TSMCは、Robert BoschやInfineon Technologies、NXP Semiconductorsなど欧州の主要顧客との合弁会社European Semiconductor Manufacturing Company(ESMC)として100億ユーロの投資を構築し、長期的な需要を確保している。
TSMCは、スペインやその他の南欧諸国での投資計画はまったくなく、予備的な協議さえも行っていない。これは、同社のエコシステム中心の規律あるアプローチを浮き彫りにしている。
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