ゾーンECU向けハイサイドIPD、ロームが開発 : 容量負荷の駆動能力を高める
ロームは、自動車のゾーンECUに向けたハイサイドIPD(Intelligent Power Device)「BV1HBxxxシリーズ」を開発、量産を始めた。オン抵抗が異なる6種類の製品を用意した。いずれも車載信頼性規格「AEC-Q100」に準拠している。
ロームは2025年7月、自動車のゾーン電子制御ユニット(ECU)に向けたハイサイドIPD(Intelligent Power Device)「BV1HBxxxシリーズ」を開発、量産を始めた。オン抵抗が異なる6種類の製品を用意した。いずれも車載信頼性規格「AEC-Q100」に準拠している。
BV1HBxxxシリーズの外観[クリックで拡大] 出所:ローム
自動車の電子アーキテクチャはこれまで、特定の機能に対応してECUを配置する「ドメインアーキテクチャ」が主流となっていた。ところが近年は、機能ごとではなく場所(ゾーン)ごとにまとめて管理するために、統合型ECUを配置した「ゾーンアーキテクチャ」が注目されている。
自動車に搭載されるゾーンECUは、多くの負荷を一括で制御する。そこで、電子的にこれらの負荷を保護・制御するためのIPDが用いられる。ところが、これまでのIPDは容量負荷の駆動能力が不足していたという。容量負荷駆動能力が低いと突入電流を抑えられずに過熱状態が発生し、誤動作が生じたり寿命が短くなったりすることがあった。
このため新製品は、容量負荷の駆動能力を高めた。これによりゾーンECUと出力負荷の接続部において、その性能を最大限に発揮できるという。さらに、独自のプロセス技術によって低オン抵抗と高エネルギー耐量も両立させた。
また、実力値が±5%という高精度の電流センス機能を搭載した。これによって、出力負荷へ接続するためのハーネスを保護する。パッケージは外形寸法が4.9×6.0×1.0mmのHTSOP-J8で供給する。サンプル価格(税別)は600円。チップワンストップやコアスタッフオンラインなどのネット商社からも購入できる。
BV1HBxxxシリーズの主な仕様[クリックで拡大] 出所:ローム
回路電流は160nA、小型CMOSオペアンプをロームが開発
ロームは、動作時の回路電流が極めて少なく、外形寸法も1mm角以下と小さいCMOSオペアンプ「TLR1901GXZ」を発売した。電池駆動の携帯型計測器やウェアラブル端末機器などの計測センスアンプ用途に向ける。
半導体製造工程に「量子技術」を本格導入、ロームなど
ロームとQuanmaticは、EDS(Electrical Die Sorting)と呼ばれる半導体製造工程の一部に量子技術を導入し、EDS工程セットアップ時のロスを従来比で40%も削減した。「大規模な半導体製造工程に量子技術を本格導入するのは世界で初めて」(ローム)という。今後、前工程への導入も検討していく。
TSMCがGaN事業撤退へ、ロームは「さまざまな可能性を協議」
TSMCが2027年7月までにGaNファウンドリー事業から撤退すると決定した。同社と協業するロームは「協業体制の維持、深化に向けて、引き続き互いの強みを融合させることで市場/顧客ニーズに適切に対応していく」と述べている。
トヨタの中国向け新型BEV、ローム製SiC MOSFETを搭載
ロームは、トヨタ自動車などが開発した中国市場向け新型クロスオーバーBEV「bZ5」に、第4世代SiC MOSFETを搭載したパワーモジュールが採用されたと発表した。
PFC+フライバック制御レファレンスで電源を小型に、ローム
ロームは、「LogiCoA」電源ソリューションの第2弾として、PFC(力率改善)とフライバックという2種類のコンバーターを1個のマイコンで制御できる電源のレファレンスデザイン「REF67004」を開発した。
ロームとNVIDIA、AIファクトリー実現に向け協業
ロームは、次世代AIデータセンターに向けた「800V電力供給アーキテクチャ」の開発で、NVIDIAと協業する。新たなデータセンターの設計に対しロームは、Si(シリコン)に加え、ワイドバンドギャップ半導体のSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)など、最先端のパワー半導体デバイスを提供していく。
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