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米国政府がIntel株を10%取得 元王者の救済は「国有化への序章」か?「TSMCも最大株主は政府だ」との声も(1/2 ページ)

米国政府は2025年8月22日(米国時間)、「アメリカファースト」製造業構想の一環として、Intelへの直接投資を実施すると発表した。業界内ではこれに対して「Intelの国有化に等しい」という批判も上がっている。

» 2025年08月28日 11時30分 公開
[Majeed AhmadEE Times]

 米国政府は2025年8月22日(米国時間)、「アメリカファースト」製造業構想の一環として、Intelへの直接投資を実施すると発表した。米国政府の企業への直接投資は2008年の「自動車メーカー救済」以来だ。今回のこの戦略的投資は地政学的な逆風を背景に強硬に行われていて、国家安全保障を考慮して進められていることが特徴だ。

 自由市場経済への政府の介入は、成長やイノベーションにはほとんどつながらないとして問題視されている。CPUとAIプロセッサ分野でIntelの主要なライバル企業であるAMDとNVIDIAは、中国での半導体販売収益の15%を米国政府に支払うことに合意している。

 ほんの数年前にはこのような事態は想像もできなかった。ドナルド・トランプ大統領は2025年8月7日、IntelのCEOであるLip-Bu Tan氏が中国企業と親密な関係にあるとして辞任を要求したが、米国政府がIntelの株式の10%を取得することで、このドラマに終止符が打たれた。トランプ大統領はTan氏と会談し、同氏に対して好意的な態度を示したという。

左から、米商務省長官のHoward Lutnick氏とIntel CEOのLip-Bu Tan氏 左から、米商務省長官のHoward Lutnick氏とIntel CEOのLip-Bu Tan氏[クリックで拡大] 出所:Tan氏のXアカウント(@LipBuTan1)

 2025年8月22日に行われたフォローアップ会議で、Tan氏はIntel株の10%を取得するというトランプ大統領の要請に同意した。なお、Intelは米国のCHIPS法において総額108億6000万米ドルの補助金を獲得していて、これは現在のIntelの時価総額の約10%に相当する。

 連邦政府の助成金のうち78億6000万米ドルは、Intelが米国内に半導体製造および先端パッケージング施設を建設する費用に充てられる。残りの30億米ドルは、米国軍の能力強化と国内サプライチェーンの確保の支援を目的とした、国防総省関連のセキュアエンクレーブプログラムに充てる。Intelはこれまでに、半導体製造および先端パッケージング工場に割り当てられた78億6000万米ドルのうち22億米ドルを受け取っている。

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