Texas Instrumentsの日本法人である日本テキサス・インスツルメンツは「EdgeTech+ 2025」(2025年11月19〜21日、パシフィコ横浜)にて、「先進的半導体技術が切り拓くヒューマノイドロボットの未来」と題した基調講演に登壇。大きな変化を遂げてきたロボティクス技術のこれまでと現在、そしてヒューマノイドロボティクスの発展に向けて必要とされる技術、TIが提供するソリューションについて取り上げた。
Texas Instruments(以下、TI)の日本法人である日本テキサス・インスツルメンツは「EdgeTech+ 2025」(2025年11月19〜21日、パシフィコ横浜)にて、「先進的半導体技術が切り拓くヒューマノイドロボットの未来」と題した基調講演を行った。
同講演では、大きな変化を遂げてきたロボティクス技術のこれまでと現在、そしてヒューマノイドロボティクスの発展に向けて必要とされる技術、TIが提供するソリューションについて取り上げた。
産業用ロボットが製造現場に投入されたのは1961年のことだ。講演に登壇した日本テキサス・インスツルメンツ 営業・技術本部 インダストリアル マネージャーの初山翔星氏氏は当時のロボットについて「ケージの中で、決められた作業を高速かつ正確に繰り返すことが主な機能だった」と説明する。人間では実現できないパワーや速度、正確な反復動作によって現場の生産性が向上した。
その次に現れたのが協働ロボット(コボット)だ。ロボットはケージを出て、人間の近くでパートナーとして作業を担うようになった。ここで、安全性が必須となった。
さらに、協働ロボットには車輪などがついて自律自走する自律走行搬送ロボット(AMR)や無人搬送車(AGV)となり、特定の場所にとどまらない柔軟性を獲得した。これによって物流の効率は大幅に向上した。その後、ロボット掃除機をはじめとして住居にもロボットが進出。初山氏は「人間の活動領域に近づくことで、より複雑な判断が求められるようになってきた」と述べる。
そして現在、ロボットの進化の究極の形態ともいえるヒューマノイドロボットの開発が加速している。初山氏はヒューマノイドロボット市場の拡大について「労働力不足や危険作業のリスク軽減への要求というニーズと、AI技術の進化を背景に、ヒューマノイドロボットへの期待が爆発的に高まっている」と説明し、「『ヒューマノイドロボットを見ない日はない』という時代が来るだろう」とする。
初山氏は、ヒューマノイドロボットに必要な要素を以下のように整理する。
同氏は「TIはこれらに必要なソリューションを有し、製品レベルに落とし込むためのノウハウも提供可能だ」と強調する。
ヒューマノイドロボットの構造は下図のようになっている。
これまでの時代のロボットにはなかった、ヒューマノイドロボットに特有の技術といえば二足歩行だ。不整地でバランスを取ったり落下物を避けたりといったイレギュラーな場面でも、関連するコンポーネントが同期して動作する必要があるので、ゼロモーメントポイント(ZMP)制御やトルク制御は非常に複雑化し、これまでとは比較にならないほどの技術革新が必要になっている。初山氏は「これまでにない複雑性をいかに克服するかが最大の課題だ」と指摘する。
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