三菱電機は、体表面や人体内部構造の微小な変動を非接触で高精度に検出できる新方式の「生体センサー」を開発した。スマートウォッチと同等の精度で、バイタルデータを日常的かつ継続的に計測できるという。
三菱電機は2025年9月、体表面や人体内部構造の微小な変動を非接触で高精度に検出できる新方式の「生体センサー」を開発したと発表した。スマートウォッチと同等の精度で、バイタルデータを日常的かつ継続的に計測できるという。
健康寿命を延ばすためには、スマートウォッチなどを用いて日常的に生体センシングを行い、収集したバイタルデータを分析して活用することが有効といわれている。ただ、スマートウォッチなどの接触型センサーは、一部の利用者で装着のわずらわしさを感じたり、皮膚トラブルを生じたりするケースもあったという。
開発した新方式の生体センサーは、微弱な電波を用い体表面や人体内部構造の微小な変動を電磁界の変化として捉える。これにより、心拍や呼吸で生じる振動を高い精度で計測できる。周囲にある物体の動きや外光などによるノイズの影響を受けることもないという。
センサー近傍の電磁界について、センサーの検出感度を自動調整する回路も実装した。センサーの装着位置や利用者の体格などに違いがあっても、これらの影響を抑えることで、常に安定したセンシングを可能にした。
また、電磁界の変化だけでなく、衣服越しに伝わる心拍も計測することでセンシング精度を高めた。さらに、電波センサーや加速度センサーなど複数のセンシング情報を組み合わせたマルチモーダルセンシングと、機械学習を用いた心拍間隔の抽出アルゴリズムを組み合わせたことで、スマートウォッチ並みの計測精度を実現した。心拍間隔の計測精度を検証した結果、スマートウォッチの誤差は28.5ミリ秒で、開発したセンサーの誤差は27.0ミリ秒であった。
開発したセンサーデバイスは、自動調整回路や電磁界センシング用の送受信回路、アンテナ、制御装置などを内蔵している。外形寸法は90×60×4mmと小さい。このため、胸ポケットに入れたり、社員証と一体化したりして利用できる。
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