エイブリックは2025年9月、異なる2方向の磁束密度を検知可能な車載用2DデュアルホールラッチIC「S-57W1/W2 Sシリーズ」を発売した。小型、薄型のHSNT-6(2025)パッケージで0.8mTの感度、8.4マイクロ秒の出力時間に対応する。
エイブリックは2025年9月、異なる2方向の磁束密度を検知可能な車載用2DデュアルホールラッチIC「S-57W1/W2 Sシリーズ」の販売を開始した。回転速度、方向出力タイプと直交交番出力タイプを選択できる。
自動車のドアやウィンドウ、ダイヤル式ボリュームなどの回転機構は、取り付けられた多極リング磁石が動いた際の磁束の変化を検知して、機構の回転速度や方向などを制御する。この磁束検知に用いられるのがホールラッチICだ。
より正確な制御を行うにはリング磁石の水平方向、垂直方向それぞれの磁束を検知する必要がある。エイブリックの従来品は1方向のみの検知に対応していたため、1つのリング磁石に対して2つのホールラッチICを用い、電気角差90度で配置する必要があった。
新製品は水平、垂直の2方向を同時に検知できるホール素子を内蔵し、1チップで対応できるようになる。パッケージはSOT-23-5(2.8×2.9×1.3mm)に加え小型、薄型のHSNT-6(2025)(2.46×1.96×0.5mm)を用意した。「組み込みやすく、設計容易性の向上に貢献する」(エイブリック担当者)という。
出力遅延時間は8.4マイクロ秒で、磁束密度は0.8/2.0/6.0mTの3タイプを用意。エイブリックの担当者は「回転機構は高分解能化が進むと思われる。リング磁石の着磁数を増やせば分解能を向上できる反面、磁束密度が下がるが、その際も0.8mTの高感度品を使えば対応できる。出力遅延時間も短く、1チップで2軸対応のホールラッチICとして、特に小型かつ高性能な製品だろう」とした。
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