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過電圧検出応答時間は「業界最速」の6.8マイクロ秒 車載用高耐圧リセットIC低消費電流と両立

エイブリックは、車載用高耐圧ボルテージディテクター(リセットIC)「S-19116シリーズ」の販売を開始した。過電圧検出応答速度は「業界最速」(同社)の6.8マイクロ秒でありながら動作時消費電流は2.0μAと低い。

» 2025年05月19日 13時30分 公開
[浅井涼EE Times Japan]

 エイブリックは2025年5月14日、車載用高耐圧ボルテージディテクター(リセットIC)「S-19116シリーズ」の販売を開始した。過電圧検出応答速度は「業界最速」(同社)の6.8マイクロ秒でありながら動作時消費電流は2.0μAと低い。

車載用高耐圧ボルテージディテクター「S-19116シリーズ」 車載用高耐圧ボルテージディテクター「S-19116シリーズ」[クリックで拡大] 出所:エイブリック

高速検出応答と低消費電流を両立

 自動車業界では、交通事故を未然に防止するための部品品質向上に加え、万が一故障が発生した際の影響を低減する機能安全への取り組みも加速している。バッテリーからレギュレーターを介してマイコンやセンサーに電圧を供給する際のレギュレーター出力の過電圧対策もその一例で、S-19116シリーズは過電圧を検出するとマイコンを安全にリセットするボルテージディテクターだ。

 従来、ボルテージディテクターの過電圧検出応答時間は数十〜数百マイクロ秒程度だったが、この間にも電圧が上昇し続け、マイコンの定格電圧を超えてしまうリスクがあることなどから、高速検出応答の需要が高まっていた。

 S-19116シリーズは6.8マイクロ秒の高速検出応答によってそうした需要に応えるものだ。検出応答時間はエイブリックの既存製品「S-19115xxxAシリーズ」比で約97%短縮したという。

高速検出応答と低消費電流を両立 高速検出応答と低消費電流を両立[クリックで拡大] 出所:エイブリック

 さらに、動作時消費電流は2.0μAと低い。一般的に、検出応答速度を上げると消費電流が増え、システムの暗電流が増加してしまうが、エイブリックは寄生抵抗を小さくしたことや動作検出範囲を設定する際のトリミング手法の見直しによって、高速検出応答と低消費電流を両立させた。

 動作電圧範囲は3.0〜36.0Vで、電圧検出範囲は8.0〜24.0V。動作温度範囲は−40〜+125℃で、低温/常温/高温の三温度テストを実施している。AEC-Q100にも対応予定で、エンジンやトランスミッションなどへの利用を想定する。

 パッケージは車載用小型パッケージであるHSNT-6パッケージ(2.46×1.96×0.5mm)を採用し、同社従来品比で20%縮小した。SOT-23-5パッケージも用意している。

小型パッケージを採用 小型パッケージを採用[クリックで拡大] 出所:エイブリック

 既に採用が決まっている例もあるといい、2028年度には単年で20万個の生産を予定している。

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