図3に、Intelの売上高、最終損益、社員数の推移を示す。ひと目で、ここ数年間の業績が、「うわ、ひどいな!」と驚かされるほど悪化していることが分かる。
まず、売上高は2021年の790億米ドルをピークに急落し、2024年には約3分の2となる571億米ドルまで減少した。次に、最終損益は2021年の198.7億米ドルから2022年には約60%減の80.1億米ドルへ、さらに2023年には80%減の16.9億米ドルに落ち込み、2024年にはついにマイナス187.5億米ドルという巨額赤字に転落した。
この最終損益の赤字拡大の主要因の一つがFoundryビジネスの不振である。実際、2024年第2四半期から2025年第2四半期まで、同部門は一貫して赤字を計上している(図4)
しかし、Intelの不調はFoundry事業にとどまらない。同社の屋台骨であるデータセンター向け半導体や各種CPUなどが競争力を失い始めているからである。
特に、NVIDIAのGPUが席巻しているAI半導体については、Intelはひどい劣勢を強いられている。これについて詳しく見てみよう。
図5に、データセンター向け半導体の売上高推移を示す。このカテゴリーの半導体にはCPUとGPUが含まれている。この図から分かるように、2021年から2022年にかけてはIntelが売上高でトップに立っていた。
しかし、2022年11月30日にOpenAIがChatGPTを公開して以降、NVIDIAの売上高が爆発的に拡大し、あっという間にIntelを抜き去った。その理由は明白である。ChatGPTをはじめとする生成AIがデータセンターのAIサーバ上で稼働しており、そこで使用されるAI半導体としてNVIDIAのGPUが引っ張りだこになったからである。
この結果、NVIDIAのGPUが世界市場を席巻した一方で、Intelの売上高はジリ貧状態となり、ついにはAI半導体でNVIDIAを追撃しようとしているAMDにも追い抜かれつつある。
さらに、2023〜2025年のAI半導体出荷個数をみると、その格差はより鮮明である。2025年にNVIDIAは302.5万個を出荷する見通しであるのに対し、Intelはわずか5%にあたる15.6万個にとどまっており、この数字はAMDの31万個の約半分にすぎない(図6)
このように、Intelはデータセンター向け半導体市場においても、AI半導体市場においても、NVIDIAに大差をつけられており、こうした状況がTan CEOの「われわれはもはや手遅れだ」という発言の背景にあると考えられる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング