Intelの撤退は、欧州が最先端半導体工場を追い求めるべきかどうかという議論を巻き起こした。欧州半導体法を推進したEU委員のThierry Breton氏は、欧州が2nm製造の最先端に立つプレイヤーになることを構想していた。Breton氏は「イノベーションはナノメートルだけで測られるものではない」と主張し、「欧州は次の3つの優先事項に注力すべきだ」と述べた。
これらの措置によって、欧州はTSMCやNVIDIAがすでに支配している市場で両社を追いかけるのではなく、独自のルールに従って戦えるようになると同氏は確信しているという。
Bosenberg氏は、より根本的な政策上の疑問として、「企業への補助金に約100億ユーロを割り当てるのであれば、戦略的な目標に結びついていることが望ましい。問題は、この戦略的目標がまだ存在しているのか、そしてもし存在するなら、プランBは何なのかということだ」と付け加えた。
政策立案者はバランスを取らなければならない。1つのクラスタに過剰な補助金を投入すると資金の冗長リスクがあるが、資金を分散させすぎると希薄化のリスクが生じる。Drews氏が指摘するように、健全な競争は類似ノードのファウンドリー間でも可能であり、必要だ。
Intelの撤退は、欧州の半導体の野望にとって致命的な打撃ではなく、現実を直視する機会である。外国の大手企業に依存することの脆弱性と、補助金を実際の市場ニーズに合わせて拠出することの重要性を浮き彫りにした。欧州は、2030年までに世界の半導体生産に占めるシェアを倍増させることを目指している。この目標は依然として困難だが、政策立案者がIntelの一件から学ぶならば、達成は可能である。
Drews氏は、次のように結論づけている。「欧州で作られたものが全て欧州にとどまるようなクローズドループは必要ない。必要なのは、能力とキャパシティー、グローバルな関係性、そして強みを強化することだ。今必要なのはスピードと集中力だ」
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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