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onsemiが縦型GaNパワー半導体開発、700Vと1200V品をサンプル提供GaN-on-GaN技術で攻める(1/2 ページ)

onsemiが縦型窒化ガリウム(GaN)パワー半導体を開発した。GaN on GaN技術の製品で同社は「AIデータセンターや電気自動車(EV)など、エネルギー集約型アプリケーションによる世界的な電力需要の急増を背景に、onsemiは縦型GaNパワー半導体を発表した。この新デバイスは、これらの用途で電力密度、効率、堅牢性の新たな基準を打ち立てるものだ」と述べている。

» 2025年10月30日 20時06分 公開
[永山準EE Times Japan]

 onsemiは2025年10月30日(米国時間)、縦型窒化ガリウム(GaN)パワー半導体を発表した。GaN-on-GaN技術の製品であり、同社は「AIデータセンターや電気自動車(EV)など、エネルギー集約型アプリケーションによる世界的な電力需要の急増を背景に、onsemiは縦型GaNパワー半導体を発表した。この新デバイスは、これらの用途で電力密度、効率、堅牢性の新たな基準を打ち立てるものだ」と述べている。

onsemiが開発した縦型GaNパワー半導体ウエハー onsemiが開発した縦型GaNパワー半導体ウエハー[クリックで拡大]出所:onsemi

横型GaNを大きく上回る特性

 現在一般的なGaNデバイスの多くは、シリコンやサファイアといったGaN以外の基板上に構築されている。onsemiが発表した縦型GaNでは、GaN-on-GaN技術を採用し、電流をチップ表面ではなく垂直方向に流す構造を持つ。これによって高い電力密度、優れた熱安定性、過酷な条件下での堅牢な動作を実現するとしている。同社は「この特性から、縦型GaNはGaN-on-シリコンおよびGaN-on-サファイアデバイスを凌駕し、高電圧動作、高速スイッチング、優れた信頼性、耐久性を兼ね備える。これによって冷却要件を抑えつつ、小型/軽量/高効率で、かつシステム全体コストを低減した電力システムの開発が可能になる」と述べている。

横型GaNと縦型GaNの比較 横型GaNと縦型GaNの比較[クリックで拡大]出所:onsemi

NexGenの工場を買収していたonsemi

 onsemiは2024年、2023年末に操業を停止した縦型GaNパワー半導体を手掛けていたNexGen Power Systems(以下、NexGen)の半導体工場(米国ニューヨーク州シラキュース)を買収していた。またEE Times Japanの取材によれば、onsemiはこれに前後して、NexGenの開発チームやIP(Intellectual Property)の一部も取得していた。NexGenのCEOで共同創設者だったDinesh Ramanathan氏は、2023年5月にonsemiに入社し、コーポレート戦略担当シニアバイスプレジデントを務めている。

 onsemiは今回の技術は米国ニューヨーク州シラキュースの研究開発チームによって開発されたもので、また、基本的なプロセス、デバイスアーキテクチャ、製造、システムの革新にわたる130件以上の特許を保有している、と説明している。Ramanathan氏は「縦型GaNは業界にとってのゲームチェンジャーであり、エネルギー効率とイノベーションにおけるonsemiのリーダーシップを確固たるものにする。電動化とAIが産業を変革する中で、『効率』は進歩を測る新たな基準となっている。縦型GaNを当社のパワーポートフォリオに加えることで、顧客は比類なき性能を発揮できる究極のツールキットを手に入れる。このブレークスルーによって、onsemiはエネルギー効率と電力密度が競争力の通貨となる未来を切り開く」とコメントしている。

米国ニューヨーク州シラキュースの拠点 米国ニューヨーク州シラキュースの拠点[クリックで拡大]出所:onsemi
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