米NexGen Power Systems(以下、NexGen)は、世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2022」(2022年5月10〜12日、ドイツ)に出展し、GaN(窒化ガリウム)基板上にGaN層を形成する縦型GaNデバイス「Vertical GaN」などを紹介した。同社製品は2022年第4四半期にノートPCのAC-DCアダプター用途で出荷される予定だ。また、今後、数四半期以内に車載DC-DCコンバーターやオンボードチャージャー向けに耐圧1200Vのデバイスも出荷を開始する予定だという。
米NexGen Power Systems(以下、NexGen)は、世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2022」(2022年5月10〜12日、ドイツ)に出展し、GaN(窒化ガリウム)基板上にGaN層を形成する縦型GaNデバイス「Vertical GaN」などを紹介した。
同社製品は2022年第4四半期にノートPCのAC-DCアダプター用途で出荷される予定だ。また、今後、車載DC-DCコンバーターやオンボードチャージャー向けに耐圧1200Vのデバイスも出荷を開始する予定だという。
NexGenは、米国カリフォルニア州サンタクララに本社を置き、縦型GaN半導体技術を中心としたパワーシステムの設計、開発、製造を手掛ける垂直統合型の企業だ。同社のCEO(最高経営責任者)で共同創設者のDinesh Ramanathan氏は、「GaNパワーシステムを作るには、3つのものが必要だ。高電圧、高スイッチング周波数のトランジスタと、高スイッチング周波数に対応するコントローラーのアルゴリズム、そして磁気工学、熱設計、パッケージング設計の技術革新だ。われわれはこの全てを有している」と語った。
左下図は、Vertical GaNの構造を示している。高性能なパワー半導体材料として有望なGaNだが、シリコン(Si)またはSiC(炭化ケイ素)基板上にGaNを形成する既存の横型GaNデバイスでは、GaNとSiやSiCとの格子不整合が耐圧の低下や信頼性低下の原因となっていた。格子と熱膨張係数が不一致の材料上に10μm以上の厚いデバイス層をエピタキシャル成長させると、ウエハーの反りやクラックが発生するのだという。一方、GaN基板上にGaNを成長させる同社のVertical GaNでは、格子と熱膨張係数の両方が完全にマッチングしていることから、GaN基板上に非常に厚いGaN層をエピタキシャル成長させることができ、その結果、1MHz以上の高周波駆動や低オン抵抗といったGaNの特性を備えつつもより高耐圧なデバイスを作製可能になったとしている。
縦型GaNでは、ドリフト層の厚みを増せば高耐圧化、面積を増やせば低オン抵抗/電流能力を実現できる。同社では現在、耐圧700V、1200V製品をラインアップするが、Ramanathan氏は、「われわれの製品は電圧に応じてスケールアップが容易であり、耐圧4000Vの製品も実現可能だ」と強調していた。
また、バス電圧800Vで最大10マイクロ秒の短絡ロバスト性も有しており、Ramanathan氏は、「短絡ロバスト性は特に自動車業界で要求される事項だが、この性能はSiCやGaN-on-Siでは実現できない、大きなアドバンテージだ」と述べていた。
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