減益の主な要因は、顧客との契約履行にかかる費用、車載事業における減損損失、仕入れ先からの求償請求の和解費用という、車載製品グループにおける3つの特定要因によるマイナス影響だとしている。
具体的には、まず車載インバーター事業の製品において、顧客との契約履行に伴い発生する可能性の高い損失に備えるための引当金として365億円を計上した。さらにインバーター事業およびトラクションモーター事業において、将来の回収可能性を検討した結果、固定資産の減損損失317億円も計上した。
3つ目は、仕入れ先との和解に伴う求償債務として計上した195億円だ。これはニデックが欧州Stellantisと展開するフランスの合弁会社Nidec PSA emotors(NPe)において、顧客からの求償を受けていたものだという。これら3つの要因の損失計877億円を計上した結果、営業利益は211億円となった。なお、この損失を含まない場合は、前年同期比117億円減の1088億円だったとしている。
これら特定要因の損失は2025年度第1四半期に計上し、同期は264億円の赤字となった。一方で2025年度第2四半期は475億円の黒字だが、この損失の影響を含まない場合の第1四半期と比較すると119億円減となっている。
前述の通り、第三者委員会の調査は継続していて、また報告書の提出時期も明らかにはなっていない。この点について岸田氏は「少なくとも年内には最終報告書を受け取る状況にないと報告を受けている。今後その状況に何か進展があり、報告を受けた段階で、適切な開示をする予定だ」と説明。中川氏は「われわれはこの機会を使って、あらゆる会計に関する疑義を徹底的に洗い出し、しっかりとつぶしていきたい。当社では300を超える(約350)拠点が全世界に広がっている。それらに対し、全て疑義があるといっている訳ではないが、丁寧に全拠点をしっかり調べていくことが大事だと思っている。中には、今の問題に限らず、過去にわたる問題が出てくる可能性もある。対象拠点の大きさや、時系列の関係などの調査に時間をかけているとご理解いただきたい」と語った。
また今回、計877億円の損失を計上したが、今後これ以上の損失が発生する可能性について岸田氏は「この規模の損失が出る、出ない、ということに関して現在、正しく申し上げることはできない。これらも含めて、第三者委員会を通して検証した上で進んでいく」と説明した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング