立命館大学は、ペルフルオロアルキル化合物(PFAS)の中でも分解が難しいとされてきた「ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)」を分解し無害化することに成功した。生成したフッ化イオンは、ホタル石(フッ化カルシウム)として再利用が可能だという。
立命館大学生命科学部の小林洋一教授と同大学大学院生命科学研究科博士前期課程学生の金尾周平氏らによる研究チームは2025年11月、ペルフルオロアルキル化合物(PFAS)の中でも分解が難しいとされてきた「ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)」を分解し無害化することに成功したと発表した。生成したフッ化イオンは、ホタル石(フッ化カルシウム)として再利用が可能だという。
PFASは、耐熱性や耐薬品性、表面特性に優れていることから、さまざまな用途に利用されてきた。ただ、炭素‐フッ素(C-F)結合が強く分解されにくいため、環境残留や生体蓄積が問題となっていた。これまでもPFASを分解する技術は開発されてきたが、高温環境や強酸化剤が必要となるため、代替手法の開発が求められていた。
そこで研究チームはPFOSを対象に、酸化亜鉛(ZnO)のナノ結晶を光触媒として用い、室温かつ大気下で近紫外LED光(波長365nm)を照射する手法を開発し、PFOSをフッ化物イオンまで効率よく分解できることを実証した。
特に、酢酸で表面を修飾したZnOナノ結晶は、高い触媒活性を示すことが分かった。10時間の照射を行ったところ、PFOSの残存率は0.5%まで低減した。しかも、PFOSに含まれる17本のC-F結合のうち、92%は24時間の光照射でフッ化物イオンまで分解されたという。
また、ZnOナノ結晶1粒子当たりで切断できるC-F結合数を示す「触媒回転数(TON)」は8250であった。この値は、CO2還元反応などで用いられる光触媒に比べ、極めて高い触媒効率だという。PFOSだけでなくペルフルオロオクタン酸(PFOA)をはじめ、さまざまなPFAS群の分解に有効な手法であることを実証した。
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