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VLMもエッジで実現! FP4対応、低消費電力のエッジAIカメラSoCEdgeTech+ 2025(1/2 ページ)

デジタルメディアプロフェッショナルは「EdgeTech+ 2025」に出展し、エッジAIカメラ向けSoC(System on Chip)「Di1」を紹介した。FP4に対応した独自開発のNPUを搭載し、低消費電力で高度なAI推論処理を実行できる。

» 2025年11月21日 10時30分 公開
[浅井涼EE Times Japan]

 デジタルメディアプロフェッショナル(以下、DMP)は「EdgeTech+ 2025」(2025年11月19〜21日、パシフィコ横浜)に出展し、エッジAIカメラ向けSoC(System on Chip)「Di1」を紹介した。FP4に対応した独自開発のNPU(Neural Processing Unit)を搭載し、低消費電力で高度なAI推論処理を実行できる。

エッジAIカメラ向けSoC「Di1」 エッジAIカメラ向けSoC「Di1」[クリックで拡大]

ドローン国産化の流れで需要が高まるエッジAIカメラ

 近年、ドローンやスマートファクトリー、先進運転支援システム(ADAS)などの用途で、高度な画像認識や信号処理を行えるエッジAIカメラの需要が増している。GPUのIP(Intellectual Property)開発を手掛けてきたDMPは、国内企業のデジタルカメラや任天堂のゲーム機などの幅広い採用実績を有する。「低消費電力かつ高精度に」という要求に応える中で蓄積したノウハウを生かして、高性能で低消費電力なエッジAIカメラSoCを手掛けている。

 ドローンは中国企業が圧倒的なシェアを誇っているが、DMP テクノロジー製品事業部長の梅田宗敬氏によると「米中対立の影響で中国製ドローンに依存せず国産化しようという国が多く、エッジAIカメラSoCに関する問い合わせが増えている」という。

「Jetson Orin NX」の22倍の電力性能比を実現

 Di1は、DMP独自開発のNPU/GPU/ステレオビジョン処理エンジンと、協業する台湾企業であるiCatch Technology(以下、iCatch)のISP(Image Signal Processor)を搭載している。8チャネルのカメラ入力に対応しているので、広範囲の状況把握や多視点の解析も可能だ。

 エッジでの推論処理で主流となっている演算精度はINT8やFP16だが、Di1のNPUはFP4に対応している。これによって消費電力を削減できるほか、メモリ容量を削減できるので、Di1ではこれまでエッジデバイスへの搭載が難しかった大規模言語モデル(LLM)や大規模視覚言語モデル(VLM)による推論処理にまで対応している。梅田氏は「実際にVLMをエッジで動かせるデバイスを製品化しているのは、NVIDIAとDMPだけではないか」と述べる。

 ステレオビジョン処理エンジンは、独自の前処理/後処理アルゴリズムを搭載し、高速かつ高精度に3D深度マップを生成できる。実環境での奥行き精度は±1%だ。深度測距の速度は、NVIDIAの「Jetson Orin NX」(16GB)と比較した実測値で、処理性能が3.7倍高速でありながら消費電力は約83%小さいという。結果として、電力性能比で22倍以上という高効率を達成している。消費電力が小さいことから、従来は冷却ファンが必須だった用途でもファンレス化が可能だという。「ドローンは重さが1g減ると航続時間が5秒伸びるとされている。ファンレス化と電力効率の高さで航続時間に貢献できる」(梅田氏)

深度測距のデモ 深度測距のデモ[クリックで拡大]

 iCatchのISPは、低照度環境下でも鮮明な映像を提供できる。HDRローカルトーンマッピングによって140dBの高ダイナミックレンジを実現していて、トンネルの中から出口が近づいている時など、明暗差の大きい環境にも対応する。

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