図5は2023年モデルのDJI ハイエンドドローン「MAVIC 3 Pro」と2025年モデルのMAVIC 4 Proを比較した結果である。基板上に搭載されるカメラプロセッサ、フライトプロセッサ(Vision Processor)、通信プロセッサの全てが新しいものに置き換わっている(いずれのチップも開封して解析済み)。CPUやGPUのバージョンは最新のものになり、コア数も増えAI性能もアップしている(詳細は有償のレポートに掲載)。カメラは同じ3眼だが、画素数が多いセンサーに切り替わった。MAVIC 4 Proのメインワイドカメラは1億画素。ハイエンドのスマートフォンには1億画素、2億画素のセンサーが搭載されるモデルも増えているが、ドローンにも1億画素が搭載されるようになったわけだ(MAVIC 4 Proのセンサーサイズは4/3インチと大きい:センサーピクセルサイズのSEMなどは撮影済み)
図6はDJI MAVIC 4 Proに搭載される全モーターの様子である。ロボットなどではさらに多くのモーターが搭載されるものもあるが、高度なドローンもモーターの塊だ。フライト用モーター、ジンバル用モーター、カメラの光学手ブレ補正機能(OIS)用のモーターなど12基のモーターがMAVIC 4 Proの内部には備わっている。センサーも同様に空撮カメラ、衝突回避用カメラ、モーションセンサー、高度センサーなど10基以上となっている。モーター制御用マイコンやドライバーチップも数多く組み込まれている。モーターマイコンはいずれも中国メーカー製だ。
図7は2025年5月に発売された中国ZEROZERO Roboticsのドローン「HOVERAir X1 PROMAX」の様子である。ZEROZERO Roboticsは2024年に99gの空撮ドローン「HOVERAir X1 Smart」を発売し、日本でも話題になったドローンメーカーだ。ちなみにHOVERAir A1 Smartは、New York Times紙の「The Best of CES 2024」に選出されている。ZEROZERO RoboticsのドローンはAI機能で画像認識し、追尾撮影などを得意とする。新機種のHOVERAir X1 PROMAXは、空撮機能をさらに高度化したものになっている。内部の駆動系は中国製マイコン、モータードライバーだ。
図8はHOVERAir X1 PROMAXのプロセッサ基板の様子だ。Qualcommのロボット向けプロセッサ「QRB」が搭載されている。QRBは、Qualcomm ROBOTの略。ドローンにも採用されているが、ロボットや産業機器でも採用が多いチップとなっている。プロセッサだけでなく、Wi-Fi通信、電源ICなども全てQualcomm製だ。スマートフォンと同じく、チップセットでシステムを完成させる構成になっている。車載分野でもQualcommは、プロセッサ、通信、電源系をセット化して採用される。
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