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現場のヒューマノイド本格導入は28年に20社未満、課題は過剰な投資にアナリストが警告(2/3 ページ)

» 2026年02月09日 10時30分 公開
[Pablo ValerioEE Times]

従業員の訓練不足も課題

 多くの工場労働者が高度なロボットの活用に慣れていないことも、ヒューマノイドロボット導入に向けた課題だ。ロボットで自動化を実現するには、それらをスムーズに稼働させられる熟練人材が必要になる。

 Gartnerの予測では、従業員の学習と開発への投資不足のせいで、2028年までに行われるサプライチェーンデジタル化の取り組みのうち約60%が期待された価値を実現できないという。従業員が必要な訓練を受けていないために、AIやロボットによる生産性向上が実現しない場合は多い。

 GartnerのバイスプレジデントでアナリストのTom Enright氏は「テクノロジーは長期的なコスト削減に役立つものだが、学習/開発への投資不足はそうした取り組みを危うくしている」と指摘する。企業が従業員をサポートしなければ、優れた技術も役に立たない可能性がある。

「従来のロボットとは根本的に違う」ヒューマノイドの安全要件

 多くの企業にとって、ヒューマノイドロボットは依然として高価すぎる。Teslaは同社のヒューマノイドロボット「Optimus」を2万米ドル以下で販売したいと考えているが、Unitree Roboticsなどの企業が提供するエントリーモデルは約6000米ドルと高価で、工場での使用に耐えるほど頑丈ではない。より高度なロボットは、特定タスクに特化した機械よりもはるかに効果で、動作の信頼性も低い。

 法務やリスク管理チームにとって、安全性は最大の懸念事項だ。ケージの中に閉じ込められた産業用ロボットアームとは違い、ヒューマノイドロボットは人間のすぐ近くで作業するように設計されている。しかし、立っているだけでもエネルギーを消費するので、停電やソフトウェア不具合の際にはすぐに転倒してしまう可能性がある。

 機械分野のエンジニアリング企業Simplexity Product Developmentの成長担当バイスプレジデントであるMichael Tanguay氏は「ヒューマノイドロボットと従来の産業用ロボットでは、安全要件が根本的に異なる」と主張する。「約23〜75kgという重さ、能動的な安定化システム、そして人間の近くでの作業といった要素が組み合わさることで、衝突や落下のリスクが生じ、全く新しい安全フレームワークが求められる」(同氏)

 専門家は、ヒューマノイドロボットは予測不可能な状況で必要になる「常識」を欠くことが多いと指摘する。米国マサチューセッツ工科大学 コンピュータサイエンス/AI研究所のディレクターであるDaniela Rus氏は「ヒューマノイドロボットは物理的な状況において、ほとんど知的ではない」と述べた。

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