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SiCのスイッチング損失28%削減! 東芝の新ゲートドライバー技術EVやデータセンター用電源を小型化(1/2 ページ)

東芝は、炭化ケイ素(SiC)パワーデバイスの性能を高める2つの次世代ゲートドライバー技術を発表した。電気自動車(EV)やデータセンター向け電源で用いられるSiCパワーデバイスの高効率化/小型化/信頼性向上を実現するものだ。

» 2026年02月18日 09時30分 公開
[浅井涼EE Times Japan]

 東芝は2026年2月17日、炭化ケイ素(SiC)パワーデバイスの性能を高める2つの次世代ゲートドライバー技術を発表した。この技術はSiCパワーデバイスの高効率化/小型化/信頼性向上を実現するもので、電気自動車(EV)のエネルギー効率向上や無停電電源装置(UPS)をはじめとするデータセンター向け電源システムの高電流密度化を通じ、脱炭素社会の実現に貢献するという。

SiCパワーデバイスにおける従来の課題と新技術の概要 SiCパワーデバイスにおける従来の課題と新技術の概要[クリックで拡大] 出所:東芝

 SiCパワーデバイスはシリコン(Si)パワーデバイスと比べて高速スイッチングに優れ、電力損失の低減が見込める一方、高速スイッチングではノイズが増加するというトレードオフの関係がある。

 高性能SiCパワーデバイスを実現するには、このトレードオフの最適化に加え、高周波化や大容量化に伴うドライバーICの損失(駆動損失)増加に対応する必要がある。

 東芝はこれまでもこのトレードオフを改善するための技術を開発してきたが、環境変動やデバイス特性のばらつきにより、安定した動作や高効率化は難しかった。

正確な電圧検出で28%の損失低減、58%のサージ抑制

 今回東芝はこうした課題に対し、2つの次世代ゲートドライバー技術を開発した。

 1つ目は「フィードバック型アクティブゲートドライバー」。SiCパワーデバイスの高効率/高速スイッチングといった特性を生かしながらノイズ発生を抑えるための技術だ。

 EVのトラクションインバーターなどでは、ドライバーICがフィードバック動作でパワー半導体の動作を最適化している。フィードバックのためにはパワーデバイスの電圧を検出する必要があるが、従来の方法ではこの検出電圧に誤差が生じるので、正しい波形を生成できなかった。

 対して今回東芝は、誤差を補正する回路を搭載することで、正確な電圧検出を可能にした。これによってリアルタイムで最適な駆動波形を生成でき、ノイズの原因となる電圧サージや遷移速度を常に最適化できる。東芝の試作回路では、最大28%の損失低減と58%のサージ抑制を確認したという。

東芝が開発した検出誤差補正回路 東芝が開発した検出誤差補正回路[クリックで拡大] 出所:東芝
東芝が開発したフィードバック型アクティブゲートドライバーと特性改善効果 東芝が開発したフィードバック型アクティブゲートドライバーと特性改善効果[クリックで拡大] 出所:東芝

 この技術は、EV用インバーターなどの高電圧/大電流用途の機器の小型化/高効率化への貢献が期待される。

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