ルネサス エレクトロニクスは欧州最大規模のエレクトロニクス展示会「electronica 2024」に出展し、8つの機能を1個のマイコンで制御する電気自動車(EV)向けE-AxleのPoC(proof of concept)機を展示。実際の動作デモを行った。PoCはニデックと共同で開発したものだ。
ルネサス エレクトロニクスは欧州最大規模のエレクトロニクス展示会「electronica 2024」(2024年11月12〜15日/ドイツ・ミュンヘン)に出展。8つの機能を1個のマイコンで制御する電気自動車(EV)向けE-AxleのPoC(proof of concept)機を展示し、実際に動作させるデモを行った。PoCはニデックと共同で開発したものだ。
E-Axleは、駆動モーターやインバーター、ギヤ(減速機)などを統合したEV向けユニット。多くの機能を統合することで、小型化や軽量化に加え、EV設計の簡素化が可能になる。ニデックは駆動モーターとインバーター、ギアを一体化した「3-in-1」のE-Axleを量産している。ルネサスとニデックは2023年6月、これに加えDC-DCコンバーターやOBC(オンボードチャージャー)などさらなる機能を統合する「X-in-1」システムのPoC開発に向け協業すると発表していた。
今回、両社はその協業の成果の1つとして、「世界で初めて」(ルネサス)8-in-1システムのPoCを開発。システムレベルでの動作評価を完了したとしている。PoCには、ニデックのモーターやギヤに加え、ルネサスが設計した最大効率99%以上を達成する70〜100kW出力可能なインバーター、1.5kW出力のDC-DCコンバーター、6.6kWのOBC、配電ユニット(PDU)、バッテリーマネジメントシステム(BMS)、PTCヒーター制御の8つの機能が含まれている。
従来、X-in-1を制御するには機能ごとにマイコンとPMIC(電源管理IC)のペアが必要だが、今回、8-in-1を1つのマイコンおよびPMICで制御することに成功。1つのマイコンで全ての機能を制御できるようシステム的に統合することで、部品点数とコストを大幅に削減し、小型化を実現したとしている。
なお、使用しているマイコンは400MHzのCPUを3コア搭載し、ハードウェアベースの仮想化支援機能を備えた車載制御用32ビットマイコン「RH850/U2B6」だ。ルネサスの説明担当者は、8-in-1システムの実現に当たって「MCUの高性能化の他、専用のハードウェアを用いることでCPU負荷の削減が可能なことも貢献している」と説明していた。
PoCではこのほか、マイコン用PMIC、絶縁ゲートドライバー「RAJ2930004AGM」、インバーター用IGBTモジュール、DC-DCコンバーターとOBC用パワーデバイスなどを搭載。「期待通りの性能を発揮することを実証した」としている。
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