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半導体工場でのAI活用をグローバル展開 GFが示す道筋「PoCで終わらせない」(1/3 ページ)

製造業でAIの概念実証(PoC)が乱立する中、現場への実装やグローバル展開にまでつなげるにはどのような取り組みが必要なのか。GlobalFoundries(GF)のデジタル製造担当バイスプレジデント Sujieth Vaasan氏に聞いた。

» 2026年04月07日 10時30分 公開
[Pat BransEE Times]

 AIは長年にわたり半導体製造の一部に活用されてきたが、多くの場合、ニッチなツールや個別の分析プロジェクトにひっそりと組み込まれてきた。最近は適用範囲と目的が変化してきている。プロセスの複雑さが増し、許容される誤差が小さくなるにつれ、AIは個別のプロジェクトから、ファブ全体を横断する統合的な運用レイヤーへと移行しつつある。

 その変革の中心にあるのは、プロセスエンジニアリング、データサイエンス、グローバルオペレーションを融合させた、新たな製造アプローチだ。GlobalFoundries(GF)では、デジタル製造担当バイスプレジデントを務めるSujieth Vaasan氏がこの取り組みを主導している。同氏の任務は、AIを導入することではなく、AIが真の製造価値を生み出すのはどこか、その有効性をどう検証するか、世界中のファブに展開できるようになるのはいつかを判断することだ。

出所:GlobalFoundries

「どのファブでも役立つAI」を模索

GlobalFoundries(GF)のデジタル製造担当バイスプレジデント Sujieth Vaasan氏 GlobalFoundries(GF)のデジタル製造担当バイスプレジデント Sujieth Vaasan氏 出所:GlobalFoundries

 半導体ファブでは、センサーからの出力、検査画像、計測結果、環境測定値、生産ログなど、膨大な量のデータが生成される。これらのデータは従来、統計的プロセス制御システムやルールベースのアラームに利用されていた。こうしたアプローチは、プロセスが比較的安定していて、各要素の相互作用が十分に解明されていた時代には有効だった。

 しかし、現在のファブはこれまでとは全く異なる環境にある。ツールは数千もの相互依存パラメータを生成し、プロセスの変更が頻繁に行われ、許容誤差は極めて厳しい。従来の制御方法だけでは対応しきれない。

 ここでAIは「適応型の制御レイヤー」として機能し、そのギャップを埋めることができる。機械学習モデルは、工程や装置、時間を横断して信号を相互に関連付け、人間のエンジニアや従来のソフトウェアでは見落としてしまうパターンを特定する。実際に、AIは歩留まりや信頼性、スループットを向上させるための意思決定支援システムとなっている。

 Vaasan氏は「全ての問題がAIで解決できるわけではない」と強調する。「われわれは常に『このユースケースはAIの学習と推論によって本当にメリットが得られるのか、それともより単純な自動化で解決した方が良いのか』を問うている」(同氏)

 GFは、米国、欧州、アジアに複数のファブを持ち、それぞれ設備構成、製品ポートフォリオ、成熟度は異なる。Vaasan氏の使命は、複数拠点で共通して価値を生むAI活用を見極めることだ。

 そのために、同氏のチームはAIの適用領域を大きく分類している。具体的には、装置や資産の性能、材料効率、設備やユーティリティー、欠陥率と歩留まり、生産計画と出荷、効率的な意思決定とナレッジマネジメントを通じた労働生産性などだ。

 この枠組みは、ローカルな最適化とグローバルな能力を区別するのに役立つ。あるファブのある装置で歩留まりを向上させるモデルにも価値があるが、Vaasan氏が主に関心を持っているのは、一般化して再利用できるものである。

 同氏は「われわれは、複数のファブで活用できるユースケースを常に模索している。それこそが、AI投資が真価を発揮する領域だ」と述べている。

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