製造業ではAIの概念実証(PoC)が乱立しているが、行き詰まっているケースも多い。Vaasan氏はこうしたパターンを以前から目にしていたため、ハードルを意図的に高く設定したという。同氏は、PoCは以下の4つの基準を満たす必要があるとしている。
Vaasan氏は「われわれはPoCを科学実験のようには扱わない。最終目標を念頭に置き、成果に対する明確な期待を持って開始する。影響を生み出せる道筋を見つけるか、そうでなければ速やかに中止するかのどちらかだ」と述べている。
この厳格な姿勢によって、同時に進行するパイロットプロジェクトの数は制限されるが、成功したプロジェクトが運用段階に進み、より迅速にグローバル展開される可能性は高まる。
GFのアプローチにおける重要なテーマは「近接性」だ。AIは製造プロセスに近いほど効果を発揮する。そのため、全てをクラウドに集約するのではなく、多くのモデルをエッジまたはエッジ付近で実行し、製造システムに統合している。これは特に、インライン欠陥予測、仮想計測、装置ドリフトの早期警告システムに当てはまる。
先進ノードでは特に、全てのウエハーを評価することは現実的ではない。AIモデルはリスクをより早期に推論し、結果を予測できる。Vaasan氏は「場合によっては、AIは事実上、新しい種類のセンサーになる。これによって、問題が完全に表面化する前に検出できるようになる」と述べている。
Vaasan氏は「モデルが高度化しても、AIがエンジニアに取って代わることはない」と断言する。むしろ、AIはエンジニアの役割を再定義し、強化するものである。AIは洞察を浮かび上がらせ、対応の優先順位を決定し、ノイズになる情報を減らす。対応方法を決めるのはあくまでもエンジニアだ。この「Human-in-the-loopモデル(人間が関与するモデル)」は、特にミスが多大なコストを招く半導体業界において、信頼性と導入加速のために不可欠だ。
もう1つの焦点は専門知識の継承だ。ベテランエンジニアが退職しても、AI駆動のナレッジシステムによってプロセスに関する知見が保持され、新人エンジニアがその知見を活用できる。生成AIインタフェースによって、エンジニアは過去の問題や解決策、運用状況を自然言語で照会できる。Vaasan氏は「自動化で人を排除するわけではなく、専門知識をスケールさせる取り組みだ」と述べる。
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