台湾では2016年が「スタートアップ元年」といわれる。キーワードはIoTだ。さまざまなデバイスや機器がインターネットに接続されるようになり、スマートオフィス、スマートホーム、スマートシティー、工場の自動化(スマート化)、農業の自動化(スマート化)、さらに、教育、ヘルスケア、メディカル分野など、現在でもさまざまな分野でスマート化の動きが続いている。
そこで台湾大手ベンダーが注目したのがスタートアップだ。台湾大手ベンダーはスタートアップの優れた技術やソリューションを積極的に取り込み、既存のハードウェアにさらなる付加価値を付けることで新しい製品やソリューションの開発に取り組んできた。
スタートアップが持っているスピーディな意思決定、フレキシブルなビジネス戦略、そしてチャレンジスピリッツといった強みを生かすことで新しい製品やソリューションの開発を加速させ、産業のスマート化を劇的に進めてきたのである。
台湾大手ベンダーの思惑とグローバル市場を狙うスタートアップの動きがうまくマッチし、先述したように2016年が「スタートアップ元年」といわれるようになった。業界全体でこうしたスマート化の動きが顕著に始まった年でもある。
この時期、中国や日本などでもスタートアップ振興策が打ち出され、スタートアップ育成や支援の取り組みが始まった。台湾当局も「台湾スタートアップテラス(TST)」や「台湾テックアリーナ(TTA)」といったスタートアップ支援機関を設立。2016年には、スタートアップの祭典としてアジア最大級となる「InnoVEX」が、「COMPUTEX TAIPEI」に併設される形で始まった。
さて、先ほど述べた通り、台湾スタートアップが狙うのは最初からグローバル市場である。人口2300万人のローカル市場ではなく、グローバル市場がビジネスのターゲットである。日本のスタートアップのように「まずは国内市場から……。国内市場で体力をつけて海外市場へ」という考え方ではなく、「市場は最初からグローバル」というのが台湾のスタイルだ。
台湾の大手ベンダーは1990年代後半からPCやその周辺機器を中心にグローバル市場に進出し、ハードウェアを中心に広範囲な販売ネットワークを構築してきた。「世界のPC工場」といわれるようになり、台湾のコンピュータ産業は大きな躍進を遂げ、世界中にPCや周辺機器が供給されるようになった。
生産拠点が中国に移った2000年以降はOEMからODMビジネスが主流となる。PC、サーバ、タブレット、そしてその周辺機器、さらにネットワーク分野、通信分野で、高い品質かつリーズナブルなコストを武器に、グローバル市場に多くの製品を送り出してきた。
こうした流れにIoTのトレンドが加わり、それぞれの分野で産業のスマート化(智慧化)が進む。さまざまなデバイスやIT端末がインターネットに接続されるようになり、スマートファクトリー、スマートアグリ、スマートリテール、スマートメディカル、スマートエデュケーションなど、製品のスマート化の動きが2016年以降、一気に進んだ。こうした新しい動きの中で大きな役割を果たしてきたのがスタートアップだった。
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