2026年の半導体市場は、前年比63.9%増となり、1兆3200億米ドル規模に達すると予想される。データプロセッシング分野が約90%成長する見込みで、市場をけん引する。山地氏は「Gartnerで約20年間半導体市場の動向を追っているが、1年で63.9%というのは経験したことがない水準の成長だ」としながらも、その実態について「出荷数量の激増というより、2025年末ごろからのAIデータセンター向け製品、特に広帯域メモリ(HBM)の値上がりによるものだ」と指摘する。
パワー半導体に関連しては、現在、米国/イスラエルによるイラン攻撃やそれに伴うホルムズ海峡の事実上の封鎖などで、ガソリンを消費しないバッテリー電気自動車(BEV)の需要が高まるのではないかという報道がある。これについて山地氏は「消費者がホルムズ海峡を気にして自動車を選ぶとは考えにくい。仮に封鎖が4〜5年続き、原油価格が高止まりするという状況になれば影響はあるだろうが、原油価格とガソリン車の売れ行きの相関関係は現在ほぼない」と説明した。パワー半導体市場をけん引するのもAIデータセンター市場になるとみられる。
下のグラフは世界半導体市場の推移をメモリとそれ以外に分けて示したものだ。2026年以降のメモリ市場の巨大化が伺える。メモリの売上高は2025年に2160億米ドルだったが、2026年には6330億米ドルと193%成長し、約3倍になる見込みだ。なお、メモリの中でもDRAMの成長率は151%、NAND型フラッシュメモリの成長率は293%とそれぞれ予測されている。山地氏は「2024〜2025年はNAND型フラッシュメモリ市場が低迷していたので、2026年の高い成長率はその反動でもあるだろう」とする。
メモリメーカーのリソースがHBMに割かれた結果、PCやスマホなど他の用途に用いるメモリの価格も上昇していて、市場への影響は大きい。山地氏は「メモリの値上がりは供給難によるものだ。AIデータセンター以外の領域でも、メモリの不足によって制約が発生し、出荷台数が想定より減少するといった事態が生じてくるだろう」と述べる。
続く2027年も前年比17.8%の高成長が見込まれる。2028年は同11.5%減と調整局面になるが、2029年、2030年にはまた成長軌道に戻る見込みだ。
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