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1nm世代以降の集積回路における配線抵抗を低減、慶応大らポストCu配線に向けた4つの技術

慶應義塾大学と物質・材料研究機構(NIMS)は、1nmノード以降の次世代半導体に向けた配線材料に関連する4件の研究成果を発表した。研究成果を活用することで、半導体集積回路における配線抵抗を大幅に低減することが可能となる。

» 2026年06月04日 13時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

短期的にはRuとNi、中長期的には異方性伝導体が次世代配線を担う

 慶應義塾大学理工学部の多田宗弘教授や田中貴久准教授らによるグループと物質・材料研究機構(NIMS)の中谷友也主幹研究員らによるグループは2026年6月、1nmノード以降の次世代半導体に向けた配線材料に関連する4件の研究成果を発表した。研究成果を活用することで、半導体集積回路における配線抵抗を大幅に低減することが可能となる。

 最先端の半導体デバイスは、製造プロセスの微細化などにより、素子の高性能化や低消費電力化を実現してきた。ところが、チップ内で膨大な素子を接続するための配線材料には課題もでてきた。配線幅が狭くなると従来の銅(Cu)では電気抵抗が大きくなり、信号遅延や電力消費が増えるためだ。

 研究グループは今回、4件の新技術を開発することで、Cu配線のボトルネックを解消した。その1つが「ルテニウム(Ru)配線の極薄タンタル(Ta)ライナーによる高配向化」技術である。Ru/SiO2界面にTaを0.1〜1.0nmレベルで精密挿入する手法を開発した。この方法でTa0.2〜0.3nmを挿入したところ、hcp Ru(002)の結晶配向強度比が0.78から最大1.0まで向上した。膜厚20nmでは13.0μΩ・cmの抵抗率を達成するとともに、テープ剥離試験による密着性も確保した。

 2つ目は、「1nm Alキャップ付きNi薄膜による低抵抗配線」技術である。マグネトロンスパッタでNi薄膜を形成した直後に、厚み1nmのAlキャップ層を連続堆積する手法を開発した。この方法を用い、膜厚7.9nmで23μΩ・cmという抵抗率を達成、配線工程(BEOL)における熱負荷(400℃以下)の要件も満たした。

 3つ目は、「異方性伝導体であるカゴメ金属(CoSn)単結晶薄膜の作製」技術である。今回、MgO(110)基板上にbcc-CoFe(211)/hcp-Co/hcp-Ruのバッファ層を介した独自のエピタキシャル成長法を確立。c軸が面内方向に向いたCoSn(10-10)単結晶薄膜を作製することに成功した。この薄膜はc軸方向で約13μΩ・cm、a軸方向で約120μΩ・cmを実現した。バルク単結晶に匹敵する抵抗率異方性である。

 4つ目は、「擬一次元導体PtCoO2の双晶粒界散乱の原子論的モデル化」である。今回は、密度汎関数強束縛法(DFTB)を活用した。ベイズ最適化を用い、PtCoO2専用のDFTBパラメーターを独自に開発。これを用いた非平衡グリーン関数(NEGF)計算により、180度回転双晶粒界における反射係数R=0.48を抽出し、これまで経験的に用いられてきた値(R=0.5)とほぼ一致することを原子論レベルで初めて検証した。

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