そうした「三位一体」の研究開発を、さらに高いレベルで実現させるために開業したのがC4-Lab.だ。同施設は村田製作所の今後のMLCCに関する技術改革を支える中核拠点として2023年11月から建設を始め、2026年2月に完成した。投資額については着工時点で350億円と発表していて、最終的に大きな変更はなかったという。
C4-Lab.は地上5階建てで、一般的なビルでは9階建てに相当する高さだ。建屋中央には吹き抜けエリアがあり、西側は試作ラインや評価設備、東側はオフィスとなっている。試作ラインにはMLCC製造の各工程がそろっているほか、パートナー企業との連携を想定した共同開発室も用意している。設備は今後、必要に応じてさらに増やしていく計画だ。
研究開発のほか、人材育成や技術継承にも重点を置く。福井村田製作所 技術開発推進部 部長の長谷川佳紀氏は「多様な人材が交流し、新たな価値を生み出す場にしたい」と語った。オフィスは全席フリーアドレスで、1人での作業に集中しやすいフロアと交流しやすいフロアをそれぞれ設け、部門を超えた交流の機会を創出する。
設立の背景には、技術者が自由に挑戦できる環境が少なかったという事情もある。MLCCの研究開発に特化した施設は村田製作所としてはC4-Lab.が初めてで、これまでは量産ラインを間借りする形で行うことが多かったという。しかし、近年はMLCCの売り上げが好調ということもあって主力工場はいずれも多忙で、試作の機会を増やすことは難しかった。
対して、今回開業したC4-Lab.は量産を行わない、研究開発のためだけの拠点だ。生湯氏は「思い切った条件での試作など、チャレンジが生まれやすいだろう。挑戦を許容できる場としてデザインした」「新製品に向けた具体的な技術だけでなく、アイデアベースの飛び地の技術のブレインストーミングなども行ってほしい。どれだけ失敗できるかが勝負だと思う」と述べる。
生湯氏は「主役は設備や建物ではなく、あくまで人だ。異なる領域のスペシャリストが同じ場で議論して試行錯誤を繰り返して初めて『三位一体の研究開発』が成立する」とし、「C4-Lab.の開業で、MLCC事業をより高みに押し上げていきたい」と強調した。
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